No. 269 空気を原料とした代替肉

Air Protein(エア・プロテイン)

「Air Protein(エア・プロテイン)」とは、微生物を利用することで空気中の二酸化炭素から生成されるタンパク質。NASAが1960年代に取り組んだ宇宙での食料生産技術を元にしており、人間の排出する二酸化炭素を無臭の粉末状タンパク質に変質させることで、人工肉などさまざまな代替食品の製造が可能となる。従来、代替肉等の原料として使用されていた大豆の製造プロセスと比べて必要な土地と水は1000分の1のみであり、農薬や抗生物質などを使わず数日で生み出すことができる。できあがったタンパク質は9つの必須アミノ酸をはじめビタミンやミネラルも豊富に含まれており、栄養価も高い。天然資源に負担をかけることなく、空気からタンパク質を生み出せるAir Proteinは、将来の食料生産への新たなアプローチとなることが期待されている。

妄想プロジェクト

自動備蓄の「Air Protein小屋」

栄養価が高く生成に環境を左右されない「Air Protein」は災害時の食料としても活用できるかもしれない。自宅の庭や街の避難所、遭難者が頻出する山間部などに生成システムを搭載した「Air Protein小屋」を設置しておけば、平時には自動的に大量のタンパク質が備蓄される。いざという時にその小屋を解放すれば、栄養価が高く料理への転用方法も幅広いAir Proteinを食料として人々に配給することが可能だ。防災以外にも、自給自足の生活を送るローカルエリアの人々のためのインディペンデントな食材設備としての活用もできるかもしれない。


妄想家: 荒井亮

なぜできるのか?

宇宙技術から得た着想

1960年代、NASAは二酸化炭素を代謝できる単細胞生物「水素酸化細菌」に着目し、「水や宇宙飛行士から排出された二酸化炭素を水素酸化細菌に与え、人間に必要な栄養素に変換させる」というコンセプトを打ち出した。この事例から着想を得て研究・開発された二酸化炭素変換技術により、CO2からの9つの必須アミノ酸を含む粉末状のタンパク質の生成が可能となった。

環境に左右されない生産方法

どこにでも存在する空気を原料とするAir Proteinは、畜産や農業のように土地を必要とせず、季節や天候にも影響されない。アマゾンの森林火災や温暖化による地球規模での土地の減少、人口増加への解決策の糸口となる可能性がある。

豊富な栄養素

水素酸化細菌を用いて生み出されたAir Proteinはアミノ酸以外にも、ベジタリアンの食事では摂取しにくいビタミンB12やナイアシン、チアミンなどのビタミンB群も含んでいる。また、遺伝子組み換え作物・農薬・除草剤・ホルモン剤・抗生物質なども不使用である。

アレンジが可能

見た目は淡褐色の粉末であるAir Proteinは、人工肉にするだけでなく、ドリンクに混ぜたりヨーグルトにかけたりなど、幅広い食品へのアレンジが可能である。

相性のいい分野

SDGs
人口爆発に向けた、環境に負荷が少ない食肉大量生産
フード
「フードロス」を解消する完全食の生産
ライフスタイル
持ち歩き可能な小型自動生成ポットによる「どこでも代替肉」
宇宙
宇宙空間で生産できる栄養食
災害
僻地や山頂など食材調達が難しい地域での食料生産
エンターテインメント
自らの呼吸や大切の人と過ごした「空気」を食べられる、空間ごとパッケージングした新しい食体験

知財情報

主な知財ホルダー:AIR PROTEIN,Kiverdi

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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知財ハンター

加藤 なつみ KatoNatsumi
Assistant Producer / Konel Inc.

群馬県富岡市出身。信州大学感性工学科主席卒業、イノベーション教育プログラムi.school修了生。人が持っている感性や想像力を引き出すものづくりを志し、プロダクトからサービスデザインまで、幅広く仲間と活動中。日本文化や美意識、感覚拡張、自然界の仕組みに高い関心がある。


知財ライティング: 清水菜月