No.1011

2025.01.28

廃棄貝殻からできた、高強度で環境にやさしい新素材

SHELLTEC(シェルテック)

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概要

「SHELLTEC(シェルテック)」とは、廃棄されるホタテの貝殻を再利用することで生まれた日本初の新素材。年間50万トンにも及ぶホタテの廃棄貝殻には、建材やセメント、プラスチックなどの原料として用いられる炭酸カルシウムが含まれている。この特性を活用して、廃棄プラスチックやコンクリートと組み合わせて資源にすることで、CO2排出量の削減と強度の向上を同時に実現する新素材を開発した。ヘルメットやテトラポッドなどの実用化にも成功し、プラスチックに代わる次世代の重要資源として期待される。

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なぜできるのか?

廃棄貝殻を資源化するアイデアと技術力

ホタテの貝殻には、建材やセメント、プラスチックなどの原料になる炭酸カルシウムが含まれている。日本で消費量の多いホタテに目をつけ、廃棄貝殻を廃棄プラスチックやコンクリートと組み合わせて、新素材へと生まれ変わらせた。新品のプラスチックを利用する場合と比べて最大36%のCO2削減効果があり、石灰岩由来のエコプラスチックと比べても最大20%のCO2削減に成功している。またホタテ以外でも、炭酸カルシウムが主成分のムール貝や牡蠣の貝殻などからも生成可能である。

バイオミミクリーを取り入れた構造

貝殻の特殊なリブ構造をデザインに取り入れることで、通常のプラスチックよりも強度(曲げ弾性率)が33%向上した。またこの構造は海藻が付着しやすい特性を持ち、テトラポッドとして活用することで、海中の炭素を吸収するブルーカーボンの増大にも貢献する。

循環型システムの確立

破損や製品寿命を迎えた後も、再度リサイクル可能な素材として用いれるよう設計を確立。持続可能な社会の実現に向けて、資源を何度でも循環させる仕組みを構築している。

相性のいい産業分野

製造業・メーカー

家具や店舗什器などのインテリアに活用し、木材や金属にはない質感と加工の自由度で新たなデザインの可能性を拡張

資源・マテリアル

石油系原料に依存しない新たな資源として、プラスチックの代替やコンクリートの補強材などさまざまな分野で利用

旅行・観光

地域特産のホタテ貝殻を用いて土産品や海洋レジャー施設の備品へと活用し、観光客が「地域の資源循環」を実感できるエコツーリズムを演出

環境・エネルギー

テトラポッドに応用することで、海の生態系と共生するブルーカーボン施策に貢献

住宅・不動産・建築

外壁材や内装材の一部に活用し、解体後も再生利用することで、循環型のスマートシティ構想に貢献

官公庁・自治体

インフラや公共の公園設備に取り入れることで、自治体が掲げる環境目標と地域資源の活用をアピールした循環型のまちづくりを推進

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 甲子化学工業 株式会社