No.944
2024.11.27
スムーズな走りをサポートする、踵が宙に浮くソール
SMOOTH SPEED ASSIST
概要
「SMOOTH SPEED ASSIST(スムーズスピードアシスト)」とは、踵(かかと)が宙に浮く形状を持つシューズのソール。長距離競技など、スピードランニングでのスムーズな走りを追求し、踵部分をカットして、安定姿勢ではつま先と踵が浮く独自のソールを開発した。効率の良い走りにつながる、前足部での着地(フォアフット走法)や中足部での着地(ミッドフット走行)では、ふくらはぎの周辺の筋肉・腱に負担がかかるが、独自構造で動きをサポートし、効率性と負担軽減を両立している。角度や接地点(地面から受ける力の中心)などのアレンジが可能で、マラソンや駅伝、トラックレースから日々のジョギングまで、国内外の様々なタイプのランナーのパフォーマンスを向上すると期待されている。
なぜできるのか?
踵を支える独自構造
独自のソール構造を構築し、接地後に踵が下がる動きを抑制し、ふくらはぎ周辺の筋や腱への負担を軽減している。ソールの中足部に厚みを持たせ、接地点を中足部寄りに設計。従来のシューズよりも、接地点と足首関節の距離を短くして、筋・腱に加わる負荷を軽減している。また、ソール踵部から足指の付け根あたりにかけて湾曲プレートを設置し、踵の落ち込みを抑制。安定姿勢の状態で踵とつま先が地面から浮く形状で、フォアフット寄りの自然な接地を促し、踵部での意図しない接地も防止する。それにより、ふくらはぎの負担が少なく、フィニッシュまでフォアフット・ミッドフット走法を持続できるソールを実現している。
既存概念に捉われない「SMOOTH SPEED PROJECT」
スピードランニングに関する社内横断プロジェクト「SMOOTH SPEED PROJECT」から誕生した。2021年からスタートしたプロジェクトで、「スピードランニングにおけるスムーズさ」を再定義するところから着手。既存概念に捉われないプロダクト開発を重視して、アイデアを持ち寄り、踵部をカットした独自構造のソールを構築した。これまでにない独特な形状は、社内評価が分かれたが、多数のアスリートからフィードバックを受けて改良を重ね、内外の評価を獲得。「SMOOTH SPEED ASSIST」の製品化に至った。
短距離用スパイクの応用
「スピードランニングにおけるスムーズさ」を追求する中で、短距離種目の足運びパターンが理想に近いと気づき、ソールのアイデアを発案した。スパイクを履いた時の足の角度とそれを支えるソールの構造に着目。母指球の後ろあたりに設置される、踵の落ち込みを防ぐ支え台などの構造を応用して、筋・腱の負担が少ない長距離用のソールを開発した。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
・特許第7428691号
・特開2024-74062
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © ミズノ 株式会社