No.1016
2025.02.25
音楽を触覚・視覚で感じられる、抱きかかえる音楽装置
SOUND HUG
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概要
「SOUND HUG(サウンドハグ)」とは、抱きかかえることで音楽を触覚と視覚で感じられる球体型デバイス。音楽に合わせてリアルタイムに振動・発光するデバイスで、楽曲の旋律を身体に直接伝えて、新たな音楽体験を提供する。耳の聞こえに関わらず誰でも楽しむことができ、体験や空間の共有により一体感も促す。分け隔てなく楽しめる体験として、音楽会はもちろん、エンタメやアート領域のイベントなどでの展開が期待される。
なぜ生まれたのか?
着用により音楽を全身で体感できるジャケット型ウェアラブルデバイス、「ORCHESTRA JACKET(オーケストラジャケット)」を発端に誕生した。デフサッカーの仲井健人選手がイベントで着用体験し、「気づいたらリズムに乗っていた」 「音楽に親しみのない僕らは欲しいなって終始言い合ってた」との感想をSNSで投稿。それを受け、以前から関心を寄せていた日本フィルハーモニー交響楽団のメンバーとタッグを組み、耳の不自由な人も楽しめるコンサート企画の検討を開始した。
検討の中で、大人数が一緒に楽しめる低コストで現実的な方法を模索し、抱きかかえて振動を伝える風船型デバイスを着想。プロトタイプ開発を重ね、音楽に合わせて繊細な振動を伝えることができる「SOUND HUG」を構築した。2018年4月には、日本フィルハーモニー交響楽団らと共同で、「SOUND HUG」を用いた「耳で聴かない音楽会」を開催。それを皮切りに、ハードロック・ジャパンのイベントや自治体の芸術祭・文化祭などで活用されている。
なぜできるのか?
オリジナルデバイスの開発
振動スピーカーと発光機能を搭載した独自の球体型デバイスを開発。集音した音楽をリアルタイムで振動・光に変換して、球体に出力する。
振動は、楽曲全体の音・特定の楽器の音をミックスし、球体に内蔵した振動スピーカーで再生することで実現。また、球体形状と硬質プラスチック素材を用いて、ダイナミックな振動から繊細な振動まで感じられる設計にしている。発光機能では、音声をリアルタイムに解析して、低音は青・高音は赤など、音程に合わせて光る仕組みを構築。カラーバリエーションを持ち、音量に応じて光の強弱が変化する。舞台や演出に合わせて色の制御もできる。
イベント展開可能な体制
「SOUND HUG」と専属スタッフのレンタルサービスを提供しており、音楽のジャンルや会場規模・形態を問わずに利用できる。デバイスの発光色などはカスタマイズでき、使う数や演目・会場の雰囲気に合わせた発光パターンの調整なども行っている。サービス展開にあたっては、筑波大学附属聴覚特別支援学校の教師や学生をはじめ、聴覚障害を持つ人にプロトタイプを体験してもらい、フィードバックを元に改良を重ねた。併せて、ハードウェア実装を全体的に見直し、あらゆるジャンルの音楽にも対応できるシステムを構築した。
相性のいい産業分野
- アート・エンターテインメント
演奏や演劇など、舞台と合わせて楽しめるライブ体験の提供
- スポーツ
効果音の迫力を振動で体感できるVRアトラクションやゲームの開発
- メディア・コミュニケーション
聴覚障害を持つ人が子ども・ペットなどの声を感じられるデバイスとして展開
- 生活・文化
リラックス感をもたらす音楽と連動させ、睡眠導入デバイスとして展開
- IT・通信
スマートホームと連携した、人の訪問やアラームなどを振動で伝えるデバイスの開発
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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