No.926

2024.10.24

ピントを自動調節するメガネ型ウェアラブルデバイス

ViXion01S

ViX01S_top

概要

「ViXion01S(ヴィクシオンゼロワンエス)」とは、ピントを自動調節するメガネ型ウェアラブルデバイス。見る距離に応じてレンズの形状が変化し、操作不要・ハンズフリーで、5㎝の至近から無限遠まで自動でピントを調節できる。眼の酷使や加齢などで「見え方のわずらわしさ」を抱える人の日常をサポートするアイウェアとして、近距離から遠距離までクリアに見える視覚体験を提供する。乱視対応やカスタマイズ性の強化など、機能性やデザインのアップデートを図っており、多くの人の眼の能力を拡張すると期待されている。

ViX01S_sub

ViX01S_sub1

ViX01S_sub2

ViX01S_sub3

ViX01S_sub4

なぜ生まれたのか?

大手光学ガラスメーカーのHOYAからスピンアウトしたスタートアップ企業、ViXion(ヴィクシオン)が開発した。HOYA・ビジョンケア部門時代から事業化に着手し、2015年に暗所での見え方をサポートする「暗所視支援眼鏡」のプロトタイプ開発に成功。2018年より販売を開始した。事業化や開発のスピードを上げるため、2021年に分社化。視力に不安を感じている人向けに、「見え方の能力拡張」を実現するプロダクト・ソリューションを提供することを目指している。

2023年には、前モデルの「ViXion01」を開発。クラウドファンディングのプロジェクトでは、目標額500万円を大幅に超える4.2億円超を集めた。また、従来の眼鏡という道具に、新たな価値を誕生させる可能性が評価され、2024年度のグッドデザイン賞で、「グッドデザイン・ベスト100」「グッドフォーカス賞 [技術・伝承デザイン]」を受賞した。

「ViXion01S」はそのアップデートモデルで、機能・デザインなどを改良。前モデルに対するユーザーの声を反映し、より多くの人の眼の困りごとに対応するアイウェアとして開発した。「ViXion01S」は、最先端の技術や製品を発表する国際展示会「CEATEC 2024」の「CEATEC AWARD」で、「総務大臣賞」を受賞している。

なぜできるのか?

「ViXion01」ベースの「オートフォーカス機能」

前モデル「ViXion01」の「オートフォーカス機能」を受け継いでおり、見る距離に応じてレンズの形状を瞬時に変化させ、ピントを自動調節する。使用前に視度調整ダイヤルで左右の視度を調整すれば、その後の調整は不要。ユーザーが何かを見ようとすると、中央部に搭載した距離センサーが対象物との距離を瞬時に計測。距離に応じて電気信号を送り、柔軟性のある素材で作られたレンズの厚さを変更する仕組みで、眼のピント調節をサポート。人間の眼の構造に近い動きを可能にしている。

日常使いしやすい機能・デザイン

機能性やデザインをアップデートし、普段使いしやすいモデルとして開発した。メガネに近い形状のデザインに刷新。アウターフレームのレンズを取り外しでき、乱視・遮光・偏光・ブルーライトカットなど、用途やシーンに応じてカスタマイズできる。また、アウターフレームなしの場合は31gと、前モデル55gとの比較で約40%軽量化した(フレームありの場合は45g)。レンズ径は同じ大きさながら、瞳孔間距離の幅を約1.3倍に拡大し、より個人に合った調整を可能に。さらに連続稼働時間は最大約15時間と、前モデル比の1.5倍まで性能を高めた。電子工作・プラモデル・編み物といった細かい手元作業、PC・スマートフォンで小さな文字を凝視するシーンなどでの利用を想定しており、日々の生活の中で見え方をサポートする。

相性のいい産業分野

生活・文化

会議室での資料閲覧やデスクワークの支援ツールとしてオフィスで活用

医療・福祉

視覚障害や老眼を持つ患者の生活を豊かにするツールとして活用

AI

ユーザーの利用履歴を蓄積・分析し、よりパーソナライズしたピント調整を提供

IT・通信

視覚情報を外部連携しARなどを組み合わせた視覚体験を提供

アート・エンターテインメント

演目に応じて任意のピント調整で楽しむアート・イベントの開催

この知財の情報・出典

・特開2023-040800/特開2023-040844/特開2023-040850 etc.

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

Top Image : © ViXion 株式会社