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2024.03.13

知財ニュース

日本初のADHDデジタル治療アプリ、塩野義製薬が承認申請

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塩野義製薬は2月26日、米社Akili, Inc.が開発した注意欠陥多動性障害(ADHD)のデジタル治療アプリ「SDT-001」の日本での製造販売承認を同日付で申請したと発表した。

「SDT-001」アプリはスマートフォンやタブレットで利用することにより、ADHDの症状緩和が期待されるというもので、日本での第3相臨床試験(治験)で良好な結果を得た。承認されれば日本で初めてのADHD向け治療アプリとなる。

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「SDT-001」は、小児の注意欠如・多動症(ADHD)患者を対象としたデジタル治療用アプリ。塩野義製薬は、Akili社から同アプリの日本および台湾における独占的開発権・販売権を取得している。

これまでに8~17歳の小児のADHD患者での不注意症状の改善に用いる世界初のデジタル治療用アプリとして、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得している。また、欧州ではCEマーク(※)を取得している。

(*CEマーク:欧州経済地域EEA(European Economic Area)へ製品を出荷流通する時に必要とされる表示基準で、市場流通する製品の安全水準が確保されていることを客観的に示すマーク表示)

同アプリは、Akili Selective Stimulus Management Engine (SSMETM) コアテクノロジーに基づいて、認知機能において重要な役割を果たすとされる脳の前頭前野を活性化するように設計されている。SSMETMは、患者ごとに最適化された二重課題を行うことで大脳皮質の刺激を行い、患者の状態を改善するように促していく。

今回の国内における製造販売承認申請は、同社が日本で実施した、第3相臨床試験の良好な結果に基づくもの。

同試験は通常の環境調整や心理社会的治療が実施された6~17歳の小児ADHD患者164名を対象に、SDT-001の有効性と安全性の評価を目的に実施され、通常治療群(環境調整や心理社会的治療継続)に対して、治療開始6週時点で統計的に有意な改善を認め、同試験における主目的を達成した。

さらに、主要な副次評価項目としたADHD-RS-IVの合計スコアおよび多動/衝動性スコアのベースラインからの変化量についても、SDT-001群は通常治療群に対して、治療開始6週時点で統計的に有意な改善が認められたという。

塩野義製薬は、「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」というシオノギグループのビジョンを定め、その実現に向けてヘルスケアサービスを提供するHaaS企業への変革を掲げている。

同社は、「これまで培った創薬型製薬企業としての強みを磨きつつ、外部パートナーとの連携を含めた取り組みを強化し、医療用医薬品の提供だけにとどまらない多様な治療選択肢を提供することで、患者さまとそのご家族のQOL向上に貢献していく」としている。

プレスリリースはこちら

Top Image : © Akili, Inc.

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