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2023.05.26

知財ニュース

三井化学と日本IBM、生成AIのGPTとIBMのAI「Watson」を融合─製品用途をAIで探索、高速化

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三井化学株式会社と日本アイ・ビー・エム株式会社は、生成AIの一つであるGPTと、IBMのAIであるIBM Watsonを融合し、三井化学の製品の新規用途探索の高精度化と高速化の実用検証を開始した。

今回の実証では、長年の豊富な経験と専門知識を持った営業・事業領域のスペシャリストが参加。IBMが開発した人工知能システム「IBM Watson」を活用し、ビッグデータを効率的に分析することで、先入観や既知の知見にとらわれない新規用途の発見が可能となった。例えばSNSデータ分析では、「ある地方電鉄の車中がカビ臭い」という投稿が多いことを見つけ出し、従来の営業手法では困難だった電車内の防カビ製品の販売活動へと繋げている。

三井化学では、2022年6月から、IBM Watsonによる新規用途探索の全社展開をスタートしており、これまでに20以上の事業部門でIBM Watsonを実用し、100以上の新規用途を発見したという成果が上がっている。事業部門の一つのテーマにつき、500万件以上の特許やニュース、SNSといった外部のビッグデータをIBM Watsonへ投入している。更に同社固有の辞書の構築も実現している。

しかし、新規用途の発見には、時間が掛かるという課題がある。そこで同社は、GPTを活用。特許やニュース、SNSといったテキストデータから、同社が注目すべき新規用途を生成。注目すべき根拠や外部環境要因を明らかにし、新規用途探索の精度とスピードをアップさせることで、新規用途の激増を目指す。

なお、今回の実証では、GPTのひとつであるMicrosoftのAzure OpenAIなどを活用。探索結果をIBM Watsonへ適用してキーワードを絞り込んで分析することで、Watson実用に不慣れなユーザーでも、短時間での新規用途の発見を可能にする。また、SNS動画も含めたマルチモーダル化により、これまでIBM Watsonを活用して発見してきた新規用途の情報をGPTへフィードバックすることで、新規用途創出の自動化の実現を目指す。

三井化学は、今後、Sales Force Automation(SFA)/Marketing Automation (MA)、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)やロボティクスと連動させ、事業とR&Dといった異なるステークホルダー間の情報を融合させることで、市場開発から製品開発までのスピード加速を実現していくとしている。

ニュースリリースはこちら

「IBM Watson」知財記事

「三井化学の「そざいの魅力ラボ」にて知財図鑑のインタビューが公開―新素材や発想の拡張を紹介」(ニュース記事)

Top Image : © Brilliant Labs

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