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2022.09.26

知財ニュース

キリンと明治大学、電流で塩味を1.5倍にするスプーンとお椀「エレキソルト」デバイスを開発─減塩・無塩市場の拡大に貢献

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キリンホールディングス株式会社(以下キリン)は9月7日、明治大学と共同で、減塩食品の塩味を約1.5倍に増強させる技術を実装したスプーン・お椀型の「エレキソルト」デバイスを開発したことを発表した。

明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明研究室と共同で、人体に影響しないごく微弱な電流を用いて減塩食の味わいを増強させる独自の電流波形を開発。この波形を用いて減塩食を食べたときに感じる塩味が約1.5倍程度に増強されることを世界で初めて確認した(キリン調べ)。

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「エレキソルト -スプーン-」は、スプーンの柄にあるスイッチで電源を入れて好みの強度を選択。通常のスプーンと同様に使用することでスプーン先端から微弱な電流が食品に流れて効果を発揮する。想定される使用方法は、ラーメンのレンゲ代わりや、スープやカレーなど。

「エレキソルト –椀-」は、側面にあるスイッチで電源を入れて好みの強度を選択。お椀の底部を手で持つことで、お椀内部に微弱な電流が流れて効果を発揮する。想定される使用方法は、お味噌汁やお吸い物、麺類の取り分け容器など。

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厚生労働省の調査では、日本人の1日当たりの食塩摂取量は20歳以上の男女ともWHO(世界保健機関)が掲げる食塩摂取基準よりも非常に多いことが知られている。近年は、健康志向の高まりから、日本の減塩・無塩食品の市場が拡大しているが、減塩食を行っている/行う意思がある人のうちの63%が減塩食に課題を感じ、そのうちの約8割が味に不満を抱えていることが、首都圏在住者を対象としたキリンのアンケート調査で分かった。

そこでキリンは、減塩食を美味しく続けられれば、健康課題の改善や、減塩・無塩市場のさらなる拡大につながる可能性があると判断。2019年から明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明研究室と共同で、人体に影響しないごく微弱な電流を用いて疑似的に食品の味の感じ方を変化させる「電気味覚」の技術の活用について研究を行ってきた。そして、その研究成果として、減塩食の味わいを増強させる独自の電流波形を開発。減塩食経験のある人を対象にした臨床試験で、減塩食を食べたときに感じる塩味が約1.5倍程度に増強されることを世界で初めて確認した(キリン調べ)。

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またキリンは、減塩に取り組まれている人が「薄味ではなく濃い味で食べたいもの」を調査。1位がラーメン、2位がみそ汁という結果から、ラーメンや汁物を食べるのに適した「エレキソルト -スプーン-」「エレキソルト –椀-」の開発に至った。

9月からは、「エレキソルト」デバイスを用いた実証実験を、減塩専門店「無塩ドットコム」を運営する株式会社ノルトと、食を起点に暮らしの情報を発信している株式会社オレンジページと共同で実施。各企業の会員を対象に8月から募集を行い、共同開発したおいしい減塩食を「エレキソルト」デバイスとセットで提供し、満足度を評価する。実施内容は、会場での試食調査、家庭で使用してもらうホームユーステストで、実証実験で有用性を検証し、2023年に「エレキソルト」デバイスの国内での発売を目指す。

ニュースリリースはこちら

「Norimaki Synthesizer(のりまきシンセサイザー)」(明治大学宮下芳明研究室)知財記事

「Taste The TV(テイスト・ザ・ティーヴィ―)」(明治大学宮下芳明研究室)知財記事

Top Image : ©︎ キリンホールディングス 株式会社

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