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2022.05.24
知財ニュース
家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」、認知機能低下の抑制に期待の実証結果
ロボットベンチャーのGROOVE X 株式会社は、神戸市が実施する「CO+CREATION KOBE Project(民間提案型事業促進制度)」による支援のもと、同社の提供する家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」が、介護施設において入居者や介護職員の方に与える影響についての実証実験を実施。介護施設内において「LOVOT」と暮らすことで、入居者の方の認知機能の低下抑制効果を期待できる結果が出たことを発表した。
「LOVOT(らぼっと)」は、人に甘えられることに特化したロボット。多種多様なセンサーや、機械学習、動物らしい手触り・体温設計など、従来のペット型ロボットにはない技術が集約されており、ロボットでありながらまるで生き物のような生命感を持った振る舞いをする。
その技術力は世界中で評価され、国内外問わず数々のアワードを受賞。また、近年ではコロナ禍におけるメンタルケア、情操教育、プログラミング教育などの観点からも注目されており、教育施設や医療施設、企業などにも導入されている。
今回そんな「LOVOT」が使用されたのは、介護施設における「LOVOT」とのふれあいが、介護スタッフや入居者にどのような効果をもたらすのかを検証する実証実験。各施設ごとに「LOVOT」を合計2体づつ貸し出し、入居者10名と介護職員を対象に、入居者には職員のヒアリングによるQOL評価を、職員には紙ベースでのストレスレベル・主観的幸福感・⾃⼰肯定感の検定を行った。
結果として、「LOVOT」の有無が入居者の認知機能低下に有意に影響が見られ、認知機能の低下が抑制された可能性が確認された。また、介護職員にはストレスレベル・主観的幸福感・⾃⼰肯定感に統計的な有意差は得られなかったものの、「職員同士の会話が増えた」「介護者がLOVOTといると職員には見せない表情を見せる」「介護時の愚痴が減った」といったポジティブなコメントを得られたという。
高齢化が深刻化する日本では、増加の推計のある認知症患者への対策や、介護現場の人材確保が重要なテーマとなっており、今回の実験はそうした介護分野における課題解決への取り組みとして注目される。
Top Image : © GROOVE X 株式会社
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