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2026.06.01
知財ニュース
コーネル大学、水中でコンクリート3Dプリントを行う新技術を開発―DARPAの海底インフラ構築プロジェクトで実証

コーネル大学の研究グループは、水中でのコンクリート3Dプリント技術の開発を進めている。この技術が確立されれば、現場での海洋建設や大陸間を結ぶ重要な海底インフラの修復・維持管理が大きく変わる可能性を秘めている。
同プロジェクトが始動したきっかけは、2024年秋にアメリカ国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が、水深数メートルの海底で3Dプリント可能なコンクリートについて、開発期間1年という条件で設計案を公募したことにある。
コーネル大学 工学部土木環境工学科のSriramya Nair(スリラムヤ・ナイル)助教授らの研究チームは、すでに約6,000ポンドの産業用ロボットを使って大型のコンクリート構造物を3Dプリントする研究に取り組んでいた。研究チームは「私たちの配合(ミクストデザイン)は、継続的な水への曝露を踏まえて調整を行えば、水中でも問題なく3Dプリントできることが分かった」と述べている。
その成果が認められ、研究チームは2025年5月、特定の基準達成を条件として1年間で140万ドルの助成金を授与された。これは特定の基準を満たすことを条件としており、他のチームも同様の目標達成を目指して競い合っているとのこと。
水中での3Dプリンティングには多くの課題が存在する。中でも、水によってセメントの粒子が結合を失い、材料の強度を著しく低下させる「ウォッシュアウト(材料分離)」と呼ばれる現象を防ぐことが最重要課題となる。一般的にこれは不分離性混和剤で解決できるが、これらの化学物質を過度に通加すると混合物の粘度が非常に高くなり、プリンターのポンプで圧送できなくなってしまう。また、ノズルから押し出した直後に自重で崩れず形状を維持しつつ、積み重ねる他の層と強固に接着させる必要があるため、これらの絶妙なバランス取りが求められる。
さらに国防高等研究計画局(DARPA)は、「使用するコンクリートは主に現地の海底堆積物で構成し、セメントの含有量は少量に抑えること」という、もう一つの高いハードルを設定した。海底にある材料を最大限に組み込むことで、大量のセメントを船舶でピストン輸送する物流上の困難(ロジスティクス課題)を最小限に抑える狙いがある。
コーネル大学のチームは2025年9月、DARPAの関係者に対し、同機関が掲げる高い目標の達成が近づいていることを示す実証実験に成功した。水中3Dプリンティングの実現には広範な専門知識が必要となるため、研究チームには電気・コンピュータ工学、材料科学・工学分野の教授陣など、学際的な協力者が多数含まれているという。
プロジェクトの締めくくりとなるDARPAの最終デモンストレーションは2026年3月に開催され、選ばれた複数のチームが水中で実際にコンクリートのアーチを3Dプリントする技術競争が繰り広げられた。
Top Image : © コーネル 大学


