アーティストと企業・研究機関がコラボレーションし制作した作品を展覧し、表彰するアートコンペティション「KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション」が京都市京セラ美術館で開始した。公募で選出された11組のアーティストと企業等の組合せが「アート×サイエンス・テクノロジー」の可能性の体現を目指しコラボレーション作品を展示している。

国際アートコンペティション「KYOTO STEAM 2022」への出展は、2020年度中の公募にエントリーの41件の企業・研究機関と111件の作品プランから、審査会によって11組のアーティストと企業等の出展組合せが決定した。

11組の作品の中からグランプリを獲得したのは、芸術家・三木麻郁氏と、国立病院機構新潟病院臨床研究部医療機器イノベーション研究室による『とほく おもほゆ』。3Dプリンターで製造できる人工呼吸器のサンプル18点に笛が組み合わさり、空気が送られると、それらが呼応するように音を奏でる作品となっている。

三木麻郁×国立病院機構新潟病院臨床研究部医療機器イノベーション研究室 『とほく おもほゆ』

準グランプリは、芸術家・金子未弥氏と有限会社丸重屋がコラボした作品『失われた全ての記憶を讃えるために』。都市インフラの点検・調査をおこなう「丸重屋」の非破壊検査技術を用いて、人々が生きる都市の隠れた側面を明らかにする、視覚化したインスタレーション。

金子未弥×有限会社丸重屋 『失われた全ての記憶を讃えるために』

そのほか、山崎阿弥氏＋マイケル・スミス-ウェルチュ氏 ×Konelが展示するのは、人を見つけてざわめくインスタレーション《lost in the wind rose》。「KYOTO STEAM 2020」にて展示された、部屋の外の風に反応し壁自体がゆらめき、室内に自然のゆらぎをもたらす「TOU-ゆらぎかべ」という作品を引き継ぎ、制作された。光を用いたセンシング技術であるLiDAR（ライダー）によって、鑑賞者の位置や動きを捉え、電磁石224個が作り出す磁力のフィールドと紙で作られた羽根のような表面が呼応して動く。

山崎阿弥＋マイケル・スミス-ウェルチュ ×Konel 《lost in the wind rose》

▲風で思考を拡張する「TOU - ゆらぎかべ」

また、興梠優護氏×株式会社堀場製作所のコラボレーション作品『龍猫図』は、動物の毛や羽・脱皮殻・鱗を、堀場製作所の「三次元蛍光測定装置 Aqualog」で成分分析し、数値やイメージング画像を、鹿・兎・牛・鷹・虎などが複合してできたメインモチーフの龍に重ね合わせ、現代的で虚実の入り混じる動物参集図に仕上げられた。鑑賞者の位置や時間によって見え方が緩やかに変化する。

興梠優護×株式会社堀場製作所 『龍猫図』

「KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション」の会期は2月13日（日）まで。期間中、来場者の投票で決定するオーディエンス賞への投票も受け付けている。

また、公式YouTubeチャンネルでは、11組のアーティストと企業・研究機関が、コラボレーションの過程や出品作品などについて語る対話動画が配信中だ。

＜KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション 概要＞

会期：2022年1月29日（土）〜2月13日（日）10時～18時（入場は17時半まで）※月曜日休館

会場：京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ

料金：一般　1,000円(税込み) ／中学生以下無料

出展作家･企業等：

大西 康明 × 福田金属箔粉工業株式会社

金森 由晃 × 株式会社フジックス

金子 未弥 × 有限会社丸重屋

川松 康徳 × 国立研究開発法人理化学研究所植物-微生物共生研究開発チーム

興梠 優護 × 株式会社堀場製作所

佐藤 壮馬 × KYOTO’s 3D STUDIO株式会社

Kikoh Matsuura × 株式会社島津製作所

三木 麻郁 × 国立病院機構新潟病院臨床研究部医療機器イノベーション研究室

三原 聡一郎 × mui Lab株式会社

宮田 彩加 × 株式会社SeedBank

山崎 阿弥＋マイケル・スミス-ウェルチュ ×Konel

 

「KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション」 公式サイト

作品に関するプレスリリース：

興梠 優護 × 株式会社堀場製作所 『龍猫図』

Kikoh Matsuura × 株式会社島津製作所 『Fragment of Evolution』

山崎 阿弥＋マイケル・スミス-ウェルチュ ×Konel 《lost in the wind rose》

Top Image ：© KYOTO STEAM 2020 国際アートコンペティション