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2023.07.04
知財ニュース
メルセデス・ベンツ、音声制御機能に「ChatGPT」を試験導入─「MBUX」搭載の90万台以上を対象
Mercedes-Benzは、同社自動車の音声制御機能に人工知能(AI)チャットボット「ChatGPT」を試験的に導入する。6月15日(米国時間)発表したもので、Microsoft Azure OpenAI Serviceを通じて、米国の顧客向けMBUX車両にChatGPTを導入する。
ChatGPTを追加し、MBUX 音声アシスタントの「Hey Mercedes」による音声コントロールがさらに直感的になるとしており、オプションのベータ プログラムは、MBUX インフォテインメント システムを搭載した90万台以上の車両を対象に2023年6月16日に米国で開始され、プログラムは3ヶ月間を予定している。
同プログラムはMicrosoftのクラウドとAI プラットフォームのエンタープライズ グレードの機能を活用し、Azure OpenAI Serviceを通じてChatGPTを統合するもの。対話における自然なやり取りとフォローアップのための質問のサポートを目的とする。
現行のMercedes-Benz MBUX音声アシスタントは既に、スポーツや天気の最新情報の確認や周囲の状況に関する質問への回答、スマートホーム製品の制御などが可能。ChatGPTが加わることで、大規模言語モデル(LLM)による自然言語への理解能力の大幅な向上とともに、より広範な話題に対応できるようになることで、音声制御機能の直感的な音声コントロールを大きく補完するものになる。
Mercedes-Benzは同プログラムの発表の中で、「参加者は、ハンドルを握り、道路に目を向けたまま、音声アシスタントに目的地の詳細を尋ねたり、新しい夕食のレシピを提案したり、複雑な質問に答えたりすることで、より包括的な回答を受け取ることができるようになる」と期待を寄せた。
収集された音声コマンドのデータは「Mercedes-Benz Intelligent Cloud」に格納され、匿名化された上で分析される。今後は、3ヶ月間のベータプログラムで得られる知見を活用して、Mercedes-Benzの開発者らが今後の開発における有益な洞察を得ることができ、音声制御のさらなる開発に正確な優先順位を設定できるようになるという。得られたデータで直感的な音声アシスタントの機能を強化するしている。
ChatGPTの開発元であるOpenAIに数十億ドル規模の投資をしてきたMicrosoftは、自社のソフトウェアやその他の製品に、OpenAIの技術を活用した生成型AIのツールや機能の導入を加速化。さらに最近は、Microsoftの検索エンジン「Bing」が使用しているデータの使用許諾契約をOpenAIと締結することで、同社によるChatGPTの強化サポートにも意欲的だ。
Top Image : ©Mercedes-Benz