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2023.03.30
知財ニュース
アドビ、著作権問題をクリアにした画像生成AI「Adobe Firefly」を発表、β版をリリース
米Adobeは現地時間3月21日、新たなジェネレーティブAIモデル「Adobe Firefly」を発表した。発表に伴い、商業利用に特化したプライベートβ版の提供を開始。初代「Adobe Firefly」では、主にテキスト入力から画像生成や、テキストエフェクトの生成機能を提供する。
同社はこれまで10年以上にわたり、AI開発を推進。人工知能プラットフォーム「Adobe Sensei」を活用して、既存アプリケーションの機能追加や性能向上を図ってきた。「Adobe Firefly」も独自開発で構築した。
「Adobe Firefly」のβ版では現在、「Text to image」と「Text effects」の2つの機能を展開。
画像生成を行う「Text to image」では、作りたい画像のイメージをテキストで入力すると画像が生成されて、いくつかの候補が表示される。画像生成後も加工やデザイン変更などが可能で、例えば写真風や絵画風などにイメージを変えたり、エフェクト追加や色味変更などの調整もできる。
文字加工や効果を追加する「Text effects」では、書きたい文字と追加したい効果のイメージをテキストで指定すると、指定文字にエフェクトが生成される。生成後にエフェクトを変更したり、文字フォントを変えるなどの調整も可能だ。
現状では提供機能は限られているが、今後は、動画変換や編集、ウェブ・SNS用のコンテンツ作成、3D画像の生成などの提供も予定。将来的には、Adobe Creative Cloud、Adobe Document Cloudなど既存のワークフローに搭載する方針で、Photoshop、Illustratorなどのアプリケーションにも順次統合していくという。外部とのAPI連携も予定している。
画像生成AIは一般的に、モデル構築後の機械学習にインターネット上の画像を用いる。そのため、これまでは企業などが著作権抵触のリスクを避けて利用を控えるケースがあった。
一方「Adobe Firefly」では機械学習に、同社が手がけるストックフォトサービス「Adobe Stock」のライセンス取得済の画像をメインに使用。ほか、オープンライセンスのコンテンツや著作権が切れたパブリックドメインコンテンツを活用しているため、商用利用として安全性を考慮したコンテンツを生成するように設計されている。
また、商業利用に活用しやすい設計にするとともに、クリエイターの権利も重視している。Adobeではクリエイターのコンテンツが学習データに使われないようにする「Do Not Train」タグの機能実装を予定している。一度タグを付けると、コンテンツ使用や公開など、場面を問わずにタグが紐づいて表示されるような仕組みを目指すという。
また、クリエイターが「Adobe Firefly」に素材を提供して生成画像から収益が得られた際は、クリエイターが利益を享受できる方法も検討しているとのこと。その詳細は、β版の提供終了後に明らかにするという。「Adobe Firefly」により、新たなクリエイティブプロセスの構築に加え、クリエイターエコノミーの誕生も期待される。
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Top Image : © アドビ 株式会社