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2023.03.23

知財ニュース

ソニーコンピュータサイエンス研究所、京都にデジタル技術融合の茶室「寂隠」を開設

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ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)京都研究室と、株式会社ミリエームの茶美会(さびえ)文化研究所は、茶の湯文化の未来を見据えた研究と実証を開始したことを発表した。実践の場として、ソニーCSL京都研究室内に、数寄屋建築の思想・技法とデジタル技術が併存する茶室「寂隠(じゃくいん)」を開設した。

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「寂隠」は、ソニーCSLが研究開発してきた人間拡張などの技術を取り入れながら、茶の湯文化の本質や精神性を尊重した茶室を構築し、体験の創出に取り組みながら、文化の発展への貢献を目指す。なお、茶室名「寂隠」は研究テーマである"JackIn"に由来している。

ソニーCSLは、「ゆたかさ」の意味を問い直し、万人に恩恵をもたらす新たな技術の研究開発を進めている。また、茶道裏千家15代家元鵬雲斎の二男・伊住政和氏によってて1992年に創設された茶美会文化研究所は、2022年より茶の湯文化の「伝統の継承」と「本質の探究」を両輪に研究と実践に取り組み、文化の持続的発展を推進している。

ソニーCSL京都研究室 副所長、京都研究室 室長の暦本 純一氏は、いつでもどこからでも世界と接続できるバーチャルな情報技術と、都市に山居の佇まいをしつらえるべくリアルな空間の再構築を吟味した茶室は、リアルとバーチャルが高い美意識で統合され、技術と文化が相互に刺激を与えながら発展していくことが未来のゆたかさにつながると考え、研究活動を展開していくと述べている。

また、茶美会文化研究所主宰の伊住禮次朗氏は、約500年にわたって紡がれてきた茶の湯文化を取り巻く環境は厳しく続くことが予想され、「寂隠」の存在や共同研究が茶の湯文化の未来を示すモデルケースになると考えていると述べている。

両社は、研究成果を現代の情報技術で実空間に還元し、新たに生まれる課題を新たな視点で解決すべく、文化面への貢献も見据えた研究活動を共同で推進していくとしている。

■主要な研究開発テーマ

①拡張作法伝承 by JackIn Space

(協力:東京大学社会連携講座、凸版印刷株式会社)
茶道の稽古は身体性を伴う学びであり、師から弟子への教授を通して伝統的に受け継がれてきた作法を体得するものです。本テーマでは、茶室内の三次元空間を点群データでリアルタイムに取得することにより、人の動作や道具の配置を自由視点で確認することを実現し、茶道教授者の立ち居振る舞いはもちろん、自らの動きをゴーストとしてチェックすることで、作法伝承の一助とすることを目指します。

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②立体茶会記 by NeARportation
茶会での使用道具類や食事等の記録である「茶会記」は、茶会という場での体験に基づく記録であり、490年にわたり作成されてきた茶の湯文化の歴史を考える上で重要な存在です。本テーマでは、従来はテキストの記録として残されてきた茶会記を立体的な記録とすべく、茶器や茶菓子の生み出す多様な質感の三次元再現手法を提案します。

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③雪見扉 by Squama Yukimi
茶室への道筋は「客の導線提示 ― 開放」と「俗世との遮断 ― 閉鎖」が必要であり、僅かに開いた襖や露地に配置された関守石などがその役割を果たしていました。本テーマでは、オフィス内の茶室という限られた空間において、その役割を果たす仕掛けとして、部分的に透明度を制御できるプログラマブルな障子扉を構築します。入室時には中の様子が分かる程度に開放し導線を、茶室内に入るとその視界が閉じられる遮断を提示することにより、一つの扉で矛盾する2つの要求 -開放/閉鎖- を実現します。

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ニュースリリースはこちら

「拡張作法伝承」詳細ページ

「立体茶会記」詳細ページ

「雪見扉」詳細ページ

株式会社 ソニーコンピュータサイエンス研究所 公式サイト

「Flow Machines」知財記事

「ソニーがAIによる自動作曲アプリ『Flow Machines』を公開─ユーザーに合わせて様々なスタイルの音楽を生成」(ニュース記事)

Top Image : © 株式会社 ソニーコンピュータサイエンス研究所

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