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2024.01.10
知財ニュース
民間初、インターステラテクノロジズが「牛のふん尿」由来のバイオメタン燃料を用いてロケット燃焼実験に成功
インターステラテクノロジズ株式会社は2023年12月7日、「牛のふん尿」から作った液化バイオメタン(LBM)を燃料として、小型衛星打ち上げロケット「ZERO」のエンジン「COSMOS」の燃焼器単体実験に成功したことを発表。バイオメタンによる燃焼試験実施の発表は、世界2例目、民間ロケット会社では初となる。
(※同社調べ。欧州宇宙機関機関(ESA)が開発しているロケットエンジンに続く世界2例目、民間企業が主体となって開発したロケットエンジン燃焼試験として初)
液化バイオメタンは、バイオガスの主成分となるメタンを分離・精製して約-160℃で液化した燃料。性能や価格、扱いやすさ、入手性、環境性に優れることから、ロケット燃料として使用されてきた液化天然ガス(LNG)由来の液化メタンと同等の純度(99.9%)を誇っている。
その有用性から、SpaceX社の「スターシップ」をはじめ米国や欧州、中国のロケット各社で開発に注力されている。
メタンは、二酸化炭素に次いで影響の大きい温室効果ガスとして知られる気体で、とりわけ牛のふん尿やげっぷから出るメタンの排出量低減は地球温暖化の一大課題となってきた。
同社では、液化バイオメタンの高い性能性や北海道の工場で調達できることから、液化バイオメタンを小型ロケット「ZERO」の燃料に採用。家畜ふん尿から発生するバイオガスを液化バイオメタンに加工するエア・ウォーター北海道株式会社とパートナーシップを結び、液化バイオメタンを地産地消するサプライチェーン構築を推進してきた。
なお、今回の実験は、「宇宙のまちづくり」を標榜する北海道大樹町に設立された民間の宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」内で実施。「ZERO」では、推進剤として燃料に液化バイオメタンを、酸化剤として液体酸素を使用。ガスジェネレータで発生させたガスの力でターボポンプを駆動し、タービンを毎分数万回転させることで燃焼器に推進剤を高圧で送り込む「ガスジェネレータ」と燃料を燃焼器の冷却に活用する「再生冷却方式」も取り入れている。
同社ではこれまで、燃焼器、ターボポンプ、ガスジェネレータそれぞれの試験を実施。今後はそれらを組み合わせたエンジン統合試験へと進む予定とのこと。
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Top Image : © インターステラテクノロジズ 株式会社