No.773
2022.10.27
アジア初の民間にひらかれた「商業宇宙港」
北海道スペースポート(HOSPO)
概要
「北海道スペースポート(HOSPO)」とは、北海道大樹町に設立されたアジア初の民間用スペースポート(宇宙港)。ロケットやスペースプレーンの打上げのためのロケット発射場や滑走路を持った国内唯一の複合型の宇宙港で、民間企業や政府、大学等の宇宙産業に携わるプレイヤーの誰もが利用することができる。これまで国内およびアジアには民間企業が利用できるロケット発射場がなく、アジア初の商業宇宙港として2021年春に開港。従来は国内ではロケットや宇宙港が足りないために日本製の人工衛星を海外から宇宙に打ち上げるケースも多かったが、「北海道スペースポート」はこれらのコストや手続き面、経済安全保障上の課題を解決し、宇宙産業のインフラとして試験から打上げまでトータルサポート。宇宙産業に携わるプレイヤーに快適な開発・ビジネス環境を提供する宇宙インフラとして活用されることが期待されている。
Launch Complex-1(LC-1)は、人工衛星用ロケットのための射場で、垂直打上げロケットの打上げが可能。射点、組立棟、推進剤等タンクヤードを常設。また、エンジン燃焼試験の設備を併設。2023年度完成予定。※画像はイメージです。
Launch Complex-2(LC-2)では、人工衛星用ロケットの高頻度打上げが可能で、LC-1よりも大型の射場となる。射点、組立棟、推進剤等タンクヤードを常設。組立棟は複数あり、複数企業のロケットの同時組み立て、打上げ準備が可能。2025年度完成予定。※画像はイメージです。
既存の1,000mの滑走路は、JAXA、民間企業、大学等の航空宇宙実験での使用実績あり。これを1,300mに延長し、スペースプレーンの離着陸試験として活用予定。将来的に宇宙旅行等に使われる有人スペースプレーンや、地球上の主要都市を1時間以内で結ぶことができるP2P(高速2地点間輸送)のための3,000m滑走路の新設も構想。※画像はイメージです。
なにがすごいのか?
アジア初となる民間にひらかれた宇宙港
人工衛星用ロケットやスペースプレーンを対象とした打上げ射場と滑走路を保有
地方創生を含むビジネスの機会・環境を提供
なぜ生まれたのか?
世界が成長産業として注目する宇宙産業の市場規模は、2040年に100兆円まで拡大するという試算が出ている。宇宙産業の拡大の背景には、500kg以下の小型人工衛星の需要の伸びがあり、2021年には約1,700基まで拡大。衛星を使ったインターネット通信の普及、衛星データを活用した超スマート社会の実現など、幅広い分野への波及効果が期待されている。この需要を満たすためのロケットの打上げ需要の高まりに合わせて、宇宙港(ロケット発射場)も必要となる。日本国内における宇宙産業の拡大を目的に、北海道スペースポート(HOSPO)は、アジア初の民間の宇宙港として生まれた。「北海道に、宇宙版シリコンバレーをつくる」のビジョンの実現に向けて、大樹町が中心となり、北海道庁、北海道経済連合会など多くの道内企業や団体とともに本プロジェクトを推進している。
なぜできるのか?
打上げの地理的優位性
「北海道スペースポート(HOSPO)」は、東側と南側双方が海に面しており、東向きと南向き双方に打ち上げが可能。また、拠点となる北海道大樹町は晴天率が高く降雪量が少ないロケット発射場に適した環境であり、空港と港が近いためアクセスの優位性も持つ。
民間に開かれた宇宙港
垂直型・水平型・気球など多様なロケット打ち上げに対応できるマルチユースかつ国内外の誰もが利用できる商業宇宙港となっている。アジアのハブ宇宙港として世界の宇宙ビジネスの発展を支えるインフラとなることが期待されている。
複数のロケット射場
ロケットの垂直打上げが可能な「Launch Complex-1(LC-1)」や人工衛星用ロケットの高頻度打上げが可能な「Launch Complex-2(LC-2)」など、段階的に複数のロケット射場を整備。これにより、国内における高頻度なロケット打上げを実現できる。
快適な滞在環境
一般的にロケット射場は海外の僻地など過酷な住環境にあることが多い。しかし、「北海道スペースポート」がある大樹町は宿泊施設や飲食店、観光施設が充実しているため、利用者に快適な滞在環境を提供できる。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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Top Image : © SPACE COTAN 株式会社