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2021.06.07
知財ニュース
加賀市、日本初のe-Residency(電子市民)プログラム「e-加賀市民制度」導入を発表─2021年度中の提供に向け開発を開始
石川県加賀市は14日、日本初のe-Residency(電子市民)プログラムとなる「e-加賀市民制度(加賀版 e-Residency)」の導入を発表した。2021年度中の提供開始に向けて、民間企業と連携しながら開発を進めている。
e-Residencyとは、ある自治体に電子的な登録を行うことで、実際に居住していなくてもさまざまなサービスが受けられる制度。今回発表されたe-加賀市民制度では、これまでの法令上の市民に加え、「e-加賀市民」という新たなカテゴリーを設定。加賀市に「電子市民」として登録した人は、法令市民に準じた官民サービスを受けられる仕組みとなっている。
■サービス提供例
・在日数に応じて、加賀市往来時の宿泊費等を支援
・市民のみを対象としていたセミオンデマンドタクシーの利用
・移住体験プログラムの優先提供
・市の施設であるコワーキングスペースや会議室を無償貸出し
・移住時における手続きのワンストップ支援
・法人設立時の手続きを市が支援
※2021年5月時点の構想、今後追加・変更の可能性あり
加賀市はe-加賀市民が加賀市を訪れて滞在する動機を作り、湯治やワーケーションなどの中・長期滞在を通じて、日常的に加賀市に触れる機会を創出するとしている。それによって旅館などへの宿泊効果や地域内での経済効果、移住の増加・定住の促進を図るとともに、将来的な人・産業の集積を図るのが狙いだ。
なお、e-加賀市民になるための申請や、補助金の交付申請は全て電子上で行うことを想定しており、既に市民に対して提供している「行かない・書かない・待たないサービス 」のコンセプトを体験することできる。また、なりすましや多重登録を防ぐために、マイナンバーカード等を活用したデジタルIDソリューション「xID」を用いて本人確認や電子署名を行う形を採用する予定とのこと。
これは、マイナンバーカードの交付率が65.1%、申請率が76.5%(2021年4月30日現在)と全国の市区で第一位を誇り、既にマイナンバーカードを活用したデジタルサービスの提供を開始している加賀市だからこそ実現できる取り組みと言えるだろう。
マイナンバーカードは、政府主導で「ほぼすべての国民」への普及を目指し推進されているが、全国の交付率は2021年5月時点で30%。一方で、「メディコネクト」などの民間企業でマイナンバーカードをベースとしたサービスも登場し、データ基盤としての活用事例も増えている。
e-加賀市民制度により、地域全体でマイナンバーカードの活用実例・可能性が示されることで、日本のデジタル化を推し進めるきっかけとなると期待される。