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2023.09.28
知財ニュース
チャレナジー、災害時などに応じて設置・移動できる可動式風力発電機を開発─東京ベイエリアで実証開始
株式会社チャレナジーは、災害時に必要な場所で使える非常用電源として、可動式の風力発電機を開発した。
同社は、東京都のベイエリアを舞台に、50年〜100年先を見据えた未来のまちづくりを構想する「東京ベイeSGプロジェクト」の令和4年度先行プロジェクトに採択されており、同風車は、先行プロジェクトの実施事業として開発されたもの。移動・設置の容易な「置き基礎」を使用していて、2023年9月より東京ベイエリアの海の森水上競技場(陸上部)に初の実証機が設置された。
同発電機は、「サボニウス型」という方式を採用し、垂直に伸びた板状の風車が回転して発電する構造。風速が毎秒3メートルから発電でき、14.5メートル以上になると回転を止めて風を受け流すことで、従来のプロペラ風車で課題とされている強風時の暴走や破損を回避できる。
この独自の形状により、発電性能と耐久性が両立される。また風車部に雪が付着しにくい特殊塗装を施すことで、冬季は太陽光発電の利用が難しい寒冷地での利用も検討できるという。
近年、全国各地で自然災害が頻発し甚大な被害が発生する中で、再エネは脱炭素の目的に加えて「災害時でも使える非常用電源」として注目が高まっているが、これまでの風力発電機はコンクリート基礎や杭基礎が使われることから一度設置したら動かせず、災害時にすぐアクセスして使える非常用電源としては利用しづらい状況だった。
そこで、少ない工数で組立、輸送、設置が容易な風力発電機の「置き基礎」を開発し、必要に応じ移動できる風力発電を実現。また、置き基礎を活用することで、脆弱な地盤でもすぐに設置できるなど、場所を選ばず利用可能な風力発電機が期待されている。
同社は今後、実証を通して置き基礎の施工性や風力発電機の性能の検証を目的としたデータ取得を進め、ベイエリアや離島、アクセスの悪い中山間地域、避難施設、期間限定のイベント等、導入しやすい風力発電の実現を目指していくという。
Top Image : © 株式会社 チャレナジー