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2021.09.01
知財ニュース
コーヒーかすを再利用してつくられたブーツ「Panto」が誕生─消臭・除湿・耐滑・丸洗い可能
人々のストレスを足元から解放することをミッションとして2011年に設立されたシューズブランド「ccilu®(チル)」から、レインブーツの通気性のないイメージを一変させる「Panto全天候型防水コーヒーブーツ」が誕生した。
Pantoの最大の特徴は、コーヒーかすを再利用してつくられていること。
現在、世界のコーヒー消費量は年間約8,500億杯で、年間約2,500万トンのコーヒーかすが埋め立てられている。コーヒーかすは発酵すると温室効果の高いメタンガスをつくりだすため、環境に悪影響を及ぼしてしまうという課題があった。
そんなコーヒーかすを有効利用すべく、国外特許取得済の『XpreSole®』という技術を駆使し、コーヒーかすの優れた消臭や除湿効果に着目して防水や耐滑効果などの機能面を充実させ、アッパーからソールに転用したのがPantoだ。
一足作ることで、およそ15杯分のコーヒーかすをアップサイクルでき、メタンガスやCO2、カーボンフットプリントも最小に抑えられているとのこと。
また、環境に優しいだけでなく、機能性の高さもポイントだ。
Pantoのアッパーは70%のEVA防水素材と30%のコーヒーかすを練り合わせて作られているため、100%の防水性、コーヒーかすの吸汗・除湿力を備えている。検証試験ではPantoで深さ6cmの水中を連続10万歩歩いても水が浸み込まない事が証明された。そのため、洗濯機で洗うことが可能とのこと。
裏材は天然防水ゴム、コーヒーかすでできた糸、そして優れた保温と伸縮性を有するライクラ®弾力繊維を採用。さらに、インソールにはコーヒーかすと機能性のあるOrthoLite®を導入し、優れた消臭力と履き心地を実現した。
Pantoは重さわずか230グラムとなっており、これは一般的なブーツの1/3ほど。フレキシブルで足にフィットし、通気性も良いのでムレることもない。
機能性の高さと日常にも溶け込むカジュアルなデザインを誇るPantoは、トレッキングやフェスといったアウトドアはもちろん、雨の日や普段使いでも活躍するシューズとなっている。
廃棄される食品に新たな価値を付与する知財や、廃棄衣類から新たな素材をつくり出す知財など、近年はSDGasに沿ったさまざまなプロダクトやテックが登場しているが、「Panto」もそうしたアップサイクルの潮流を促進させる一例となるのかもしれない。
Top Image :©ccilu®