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2024.10.28
知財ニュース
オックスフォード大、建物や車などに吹き付けて発電する超薄型太陽光発電素材を開発
オックスフォード大学物理学部の研究者らは、建物などに吹き付けてコーティングできる超薄型の太陽光発電素材を開発したと発表した。
この超薄型の太陽光発電は、ペロブスカイトという素材が使用されており、厚さはわずか1ミクロン強で、シリコンウェハーの150分の1の薄さだ。複数の光吸収層を1つの太陽電池に積み重ねる先駆的な技術を使用して、より広い範囲の光スペクトルを利用し、同じ量の太陽光からより多くの電力を生成できるようにしたのだという。
車などの日常的な物の表面に吹き付けて塗布し、コーティングすることで機能し、建物や一般的な物体の表面に適用できるほど薄くて柔軟性がある。一般的にシリコンパネルに適用される既存の太陽光発電とは異なり、ほぼあらゆる表面に適用可能だ。
エネルギー変換効率は現在のソーラーパネルで約22%だが、今回開発された超薄型素材は27%を超えており、日本の産業技術総合研究所(AIST)から認定が与えられている。研究員のShuaifeng Hu氏は、将来は45%を超えるはるかに高い効率を達成できると考えているとのこと。
オックスフォード大学物理学部のマリー・スクウォドフスカ・キュリー・アクションズ博士研究員であるJunke Wang氏は、「自動車や建物の屋根、さらには携帯電話の背面など、より幅広い種類の表面にペロブスカイト太陽光発電素材のコーティングを施して安価な太陽光発電を行うことが考えられます。この方法でより多くの太陽エネルギーを生成できれば、長期的にはシリコンパネルの使用や太陽光発電所の建設の必要性が減ると予測できます」と述べている。
2010年以降、太陽光発電の世界的な平均コストはほぼ90%低下し、化石燃料から発電される電力よりもほぼ3分の1安くなっているのだという。このイノベーションによってさらなるコスト削減が期待できるとされている。また、この研究は商業的に大きな可能性を秘めており、すでに公共事業、建設、自動車製造の各業界に応用され始めている。
Top Image : © オックスフォード大学 物理学部