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2023.08.14
知財ニュース
米マイクロソフト、日本政府の生成AI活用に向け日本国内拠点での提供を開始
米マイクロソフトは2023年7月27日、生成AIを法人向けに提供する「Azure OpenAI Service」を、日本政府が生成AIを本格活用することに先駆け、日本国内の拠点で提供開始したと明らかにした。
「Azure OpenAI Service」は、「GPT-3.5」や「GPT-4」をはじめとするOpenAIのLLM(大規模言語モデル)を、クラウドサービス「Microsoft Azure」上で使用可能にするサービス。すでにベネッセホールディングスやKDDIなどの民間企業が「社内版ChatGPT」の開発に利用しているほか、神戸市などの一部自治体も取り入れている。
国会答弁案や行政文書のたたき台の作成など、近年行政機関での生成AIの使用が検討されているが、導入には非公開の政策情報を取り扱える機密性が求められており、「データセンターは日本になければならない」(平将明衆議院議員)などの意見も出ている。
そこで自民党では、7月27日、AI政策提言を議論する会合「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム(PT)」を開催。会合では、日本マイクロソフトの担当者が国内での提供体制を資料を使用して説明。自民党案と同社の動きから、政府が機密情報を取り扱うための現実的なセキュリティー要件が見えてきたという。
なお、同社では、行政機関が民間のクラウドサービスの情報セキュリティ対策を評価・登録する政府認定クラウドサービスのセキュリティ評価制度「ISMAP」の取得手続きを推進中。監査と申請書類の提出はすでに完了済みで、早ければ2023年8月末にも認証を取得できるという。
「Azure OpenAI Service」 では、民間企業に向けた「GPT-3.5」と政府機関と規制産業に向けた「GPT-4」の2つのモデルが利用可能で、当面は法人ユーザーを限定するとのこと。また、同サービスは2023年7月時点で東日本リージョンでの提供が開始しているが、現時点では評価のためのプレビュー版に留まっているという。
なお、今回の会合の詳しい資料は、自民党のAIプロジェクトチームのnoteからダウンロードできる。
Top Image : © 自由民主党