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2023.09.11
知財ニュース
パナソニックHD、世界初の“発電するガラス”「ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池」開発─2028年量産へ
パナソニックホールディングス(以下、パナソニックHD)は8月31日、発電するガラス「ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池」のプロトタイプを開発し、実証実験を開始したと発表した。ガラス建材一体型のペロブスカイト太陽電池の開発は、今回が世界初という。
実証実験は、神奈川県藤沢市の「Fujisawa サスティナブル・スマートタウン」内のモデルハウスで、発電性能や耐久性などの検証を1年以上かけて行う。
パナソニックHDは、ペロブスカイト太陽電池を、“まち・くらしに調和する「発電するガラス」”と位置づけ、再生可能エネルギーの創出と都市景観の調和の両立を目指している。
「ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池」は、ガラス基板上に発電層を直接形成して一体化。同社独自のインクジェット塗布製法と、レーザー加工技術を組み合わせて開発した。サイズ、透過性、デザインなどの自由度が高く、カスタマイズも可能。窓ガラスやバルコニー、ショーウインドウなど、様々な建築物での活用を想定している。
脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの1つとして太陽電池の普及が求められている。一方で、日本は平地が少なく、建物屋上の設置面積にも限りがある。そこで近年、建物の壁や窓などを利用する発電方法が注目されている。
ただ、シリコン基板に太陽電池を形成する従来型の太陽電池は透光性が低く、室内環境や景観などを損ねる懸念から、ガラス面への設置は進んでいない。パナソニックHDは、そうした課題の解決を目指して透過型の「ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池」を開発。建築物や都市と調和できる太陽電池として期待されている。
実証実験は、Fujisawa サスティナブル・スマートタウンに新設されたモデルハウス「Future Co-Creation FINECOURTⅢ」の、2階バルコニーで行う。幅3,876 mm x 高さ950 mmの場所に、グラデーション状の透過型ペロブスカイト太陽電池を配置。目隠し性と透光性を両立させたデザインや、長期間の設置による発電性能や耐久性などの検証を行う。
実証期間は、2024年11月29日(金)までを予定。パナソニックHDは、技術検証を進めながら、事業化に向けて技術開発を加速させる方針だ。今後の進展により、都市部を含む太陽電池設置場所の大幅拡大や、災害時などの電力供給システムとしての活用などが期待されている。
Top Image : © パナソニックホールディングス株式会社