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2022.03.15
コラム | 特許図面図鑑
【特許図面図鑑 No.12】図面で垣間見る日本の歴史⑤~昭和後期・平成前期~
ユニークで奥深い「特許図面」の世界を紹介するこのコラム。今回は「図面で垣間見る日本の歴史」シリーズ第五弾、昭和後期・平成前期です。(過去のコラム:①明治期、②大正期、③昭和初期、④高度経済成長期)
国鉄におけるリニアモーターカー関連や、幼少期に多くの人が触れたであろう懐かしい玩具、そして後のノーベル賞受賞へと繋がる発明など、10件を取り揃えました。
01 磁気浮上列車(特公昭57-043462号)
出願人:日本国有鉄道
出願日:1978.7.26、公告日:1982.9.14
特公昭57-043462号 J-PlatPat リンク
第三次中曽根内閣による国鉄民営化(1987年)前に出願された案件。リニアモーターカーに関し、超電導磁石4や、非接触集電用の誘導コイル7の配置に特徴がある発明です。日立と共同研究していたようですね。(参考:「浮上式鉄道実験線非接触集電方式」日立評論1981年11月号)
02 反転印字を行うテープ印字装置(特公平04-043788)
出願人:ブラザー工業株式会社
出願日:1987.11.20、公告日:1992.7.17
特公平04-43788 第2図 J-PlatPat リンク
こちらは1988年に販売開始された「テプラ」について。文房具等の持ち物にラベルを張るべく、多くの人がお世話になったであろう商品ですね。反転印字された第一のテープに剥離紙を圧着するといった内容で特許になっています。
03 錠剤デイスペンサ-(特公平07-114793)
出願人:ネ-アミッテルファブリ-ク・エ-デ-・ハ-ス・ゲゼルシャフト・エムベ-ハ-
出願日:1987.8.19(優先日:1986.8.29)、公告日:1995.12.13
特公平07-114793 図1 J-PlatPat リンク
これはタブレット状お菓子「PEZ(ペッツ)」に関する図面です。ペッツは1927年にオーストリアで生まれ、日本においても長く愛されてきました。(参考:「ペッツ | キャンディ」森永製菓株式会社HP)
04 半導体結晶膜の成長方法(特許第2628404号)
発明者:中村 修二 氏
権利者:日亜化学工業株式会社
出願日:1990.10.25、登録日:1997.4.18
特許第2628404号 図1(左) 図2(右) J-PlatPat リンク
こちらは2014年ノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏による発明です。同氏らの貢献によって青色LEDが世の中に誕生。これで光の三原色が揃ったことにより、「白」等、全ての色の光がLEDにて実現可能となりました。
05 ビデオ・ゲーム装置,その制御方法および制御ディバイス(特許第2794230号)
権利者:株式会社スクウェア
出願日:1991.7.16、登録日:1998.6.26
特許第2794230号 図1(左) 図17(右) J-PlatPat リンク
いわゆる「アクティブタイムバトル」に関する特許です。従来のRPGにおいては、自ターンの行動を選んでいる間に敵が攻撃してくることはありませんでした。一方で本発明は、自ターンの行動選択時においても、所定の時間が経つと敵が攻撃してくるというものです。
図17は、プレイヤーが行動(たたかう、まほう、-----、アイテム)を選ぼうとしている中、敵キャラクタAAA1がプレイヤ・キャラクタbbbに対して攻撃を行って340のダメージを与えている様子が描かれています。行動に悩んでいる暇が無く、臨場感が増大しそうですね。 (参考:「ヒット商品を支えた知的所有権 VOL.21」日本弁理士会広報誌2001春号)
06 手動式カ—ド販売機(特許第2518786号)
権利者:株式会社バンダイ
出願日:1993.2.17、登録日:1996.5.17
特許第2518786号 図1(左) 図6(右) J-PlatPat リンク
これは懐かしい…!20円投入してハンドルを回すと1枚のカードが出てくる装置ですね。その後、5枚1組で100円という装置も出てきた覚えがあります。
07 アミューズメントパークアトラクション(特許第3734499号)
権利者:ザ ウォルト ディズニー カンパニー
出願日:1994.8.2(優先日:1993.8.19)、登録日:2005.10.28
特許第3734499号 J-PlatPat リンク
日本のディズニーランド・ディズニーシーにはこういった乗り物は存在しない気がしますが、どこか海外のディズニーランドにて設置されているのかもしれませんね。
08 ゲーム機およびそれを用いたゲーム機システム(特許第3524247号)
権利者:任天堂株式会社
出願日:1995.11.22、登録日:2004.2.20
特許第3524247号 図8(左) 図9(右) J-PlatPat リンク
Nintendo64のコントローラーが割と忠実に描かれています。コレを持ったときの手の感触が蘇ってきました…!拡張装置装着部409は、ゲームデータを保存するためのコントローラーパックを装着する箇所ですね。なお、本特許は、コントローラーによって入力されたデータ信号の処理に関する内容です。コントローラーの外観については、例えば米国にて意匠権(USD376826S:Controller for game machine)が取得されています。
09 ゴルフシミュレーションゲーム環境装置(特許第4041197号)
発明者:孫 正義 氏、他5名
権利者:鹿島建設株式会社、石川島検査計測株式会社
出願日:1997.12.3、登録日:2007.11.16
特許第4041197号 図1 J-PlatPat リンク
こちらは実業家である孫正義氏による発明。空気ダクト装置6や散水ノズルが打席の周囲にあり、風や雨を体感しながらのシミュレーションゴルフが楽しめる装置です。VR(Virtual Reality)ゴルフと組み合わせるとより効果を発揮しそうですね。
10 対話型玩具(特表2002-532169)
発明者:ハンプトン デービッド マーク 氏、チュン キャリブ 氏
出願日:1999.1.22(優先日:1998.12.25)
特表2002-532169 図2(左) 図8C(右) J-PlatPat リンク
お喋りペットとして一世を風靡した「ファービー」の図面が描かれています。1998年に米国で販売され、日本でも人気商品となりました。日本の特許出願は登録には至りませんでしたが、米国では特許として登録されています。(US6544098:Interactive toy)
以上、懐かしいものを中心に10件の特許図面を紹介しました。青色LEDからカードダスまで、多様な特許出願がありましたね。
特許出願を行えば1年半後には内容が公開され、半永久的に文献として残ります。製品に忠実な図面を描いておけば、その後に広告として機能することがあると言えるでしょう。今回の調査を通じて実際にNintendo64をプレイしたくなりましたし、ファービーも欲しくなってきました・・・。そして以前のコラムのときは、ツイスターで遊びたくなりました。
これは特許出願の新たな活用方法かもしれませんね…!
次回は「平成後期」をお送りします。どうぞお楽しみに。
ライティング:知財ライターUchida
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