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2022.08.29
インタビュー | 深野 崇×井口 尊仁
メタバースに思い描く、分断のない社会とありのままの自分
株式会社 OPSION, Audio Metaverse 株式会社
2021年、Facebook社が社名をMetaに変更して以来、至るところで用いられるようになったパワーワードの一つが「メタバース」だろう。漠然としたイメージやヴィジョンはあるものの、それが指し示す定義や具体的なサービスはまだ明確にはなっていない。個々人が思い浮かべる対象が異なるのに、なぜここまで頻出するフレーズとなったのだろうか。
メタバースに関連するプラットフォームを運営している、Audio Meterverse株式会社の井口尊仁氏と株式会社OPSIONの深野崇氏を交えて、それぞれが展開するサービスを起点に、オンライン上に拡張される未来の社会と会社のあり方について、それがもたらす新しい人間関係や働くことの意味などについて語ってもらった。
社会変化に伴って多様化するメタバース像
―本日はイノベーターであるお二人とメタバース空間の拡張性とその課題や変化について議論していきます。「メタバースでは現実と違う人生を送ることができる」といった過度な期待もありますが、オンライン空間で過ごす時間やコミュニケーション量が増えると、個人と社会にどのような影響があるのか伺っていきたいと思います。
井口
Audio Meterverseの井口です。音声AR空間を形成して遠隔地のユーザーと交流できる「オーディオメタバース」というプラットフォームの運営を行っています。2009年にスマホ向けARアプリ「セカイカメラ」を、2013年にARグラス「Telepathy One」をシリコンバレーで開発しました。2019年に「Dabel」というオーディオソーシャルアプリをアメリカでローンチし、それを発展させる形で今年の3月から「Cubemint」というオーディオメタバースプラットフォームを提供しています。
「Clubhouse」のような配信型アプリとは異なり、いつでもどこでも誰かと話せるのが特徴です。従来のメタバースは視覚中心のVRとして語られることが多いのですが、私は現実空間をベースに、聴覚でコミュニケーションが取れるARサービスを提供しています。
Audio Metaverse 株式会社CEO・井口尊仁氏。
深野
OPSIONの深野です。弊社は2019年1月に創業し、バーチャル空間上で会議やイベントを行えるメタバースオフィスサービス「RISA」を運営しています。今は会話するだけで暗号通貨がもらえる“Talk to Earn(話して稼ぐ)”をコンセプトにした新サービス「AZITO(アジト)」を開発しています。
僕はもともと実家が裕福ではなく、他の家庭と比べて生まれた環境でやりたいことが限られるという状況に少なからず理不尽さを感じていました。学生時代にMMORPGに出会い、現実とは異なるキャラでいろんな人とフラットにコミュニケーションを取りながらミッションを達成する仕組みに感銘を受け、オンラインゲームの世界に興味を持ち始めました。将来的には「AZITO」をより拡張し、ユーザーがメタバースの中で新たな人生が歩めるような仕組みを作れればと思っています。
株式会社OPSION CEO・深野崇氏。
―メタバースについては、各サービスによってユースケースが限定されていたり、「オフィス用途ではSlackやZoomがあれば事足りる」という声もあります。一口にメタバースと言ってもその前提や定義がお2人とも違うと思いますが、日常生活でオンラインサービスを使う状況や、現状でのメタバースの課題感についてお聞かせください。
深野
弊社は創業当時から快適な作業環境や理想の働き方を実現するツールはオンラインだと考えていました。社員の中には、両親の面倒見ながら地方で働く人もいるし、東京やニューヨークでバリバリ働きたい人もいる。朝型の人もいれば夜型の人もいて、ベストなパフォーマンスを出せる条件がそれぞれ異なる。そういったニーズに会社のカルチャーをフィットさせるという考えのもと、プラットフォーム開発を行ってきました。
―コロナ禍以前から、オンラインを活用した働き方を想定していたということですね。
深野
そうですね。オンラインの場合、相手の様子が見えないので気軽に相談しづらいという課題も当初から視野に入れていて、実際に「RISA」を業務で使いながら、いかに顔や本名が分からない人ともスムーズに関係を構築できるかという点を検証しています。コロナ禍以降、バーチャルオフィスが浸透してきていますが、感染するリスクを背負ってでも出勤を続ける会社が未だにあるのは、通勤するメリットがオンラインを上回っているということだと思います。究極的には、将来、シームレスにリアルと同等の情報をメタバース上で再現できるようになると出勤する意味がなくなるので、そこを目指して開発を進めています。
深野氏が手掛けるメタバースオフィスサービス「RISA(リサ)」。リモートワークや会議のほか、エンターテインメント性にあふれたコンテンツが体験できる。
―井口さんの「オーディオメタバース」では、視覚的な情報がもたらす臨場感を省き、音声情報に振り切ってメタバース構築をされています。具体的にどのようなユースケースを想定していますか?
井口
僕は初対面の人でもお互いの社会的な条件や立場に関係なくコミュニケーションができ、何かあった時に助け合える状況を「オーディオメタバース」で構築したいと思っています。先日、2年半ぶりにアメリカに戻ったのですが、移動中に「Cubemint」を起動していたら、ドミニカ共和国の野球選手や、コロンビアの登山家、キューバから亡命した小説家兼画家といった方々に会って熱いお話を聞けました。リアルの出会いと一期一会の対話から、ものすごいコンテンツが生まれてお互いに仲良くなれましたね。
この体験はとても大きな気付きで、知らない人同士が出会って話をするときに新しいアイデアやプロジェクトが生まれやすいんですね。人生が変わるような貴重な会話を周囲の環境音も含めて「Cubemint」で3Dオーディオ化したり、NFT化してその場に居なかった人とオーディオを再生しながら会話できる。「オーディオメタバース」をグローバル展開できたら人との出会い方やつながり方、コミュニケーションのパターンやクオリティが大きく変わるんじゃないかと思っています。
―今のお話はプライベートな時間での経験ですが、メタバースのオフィス内ではそういったセレンディピティが生まれにくいように思います。仕事と関係ない雑談の中に、新しいアイデアにつながるきっかけをどう作っていけばいいか、悩ましいところです。
井口
メタバースオフィスに出勤して、決まったデスクと同じメンバーで仕事を続けても、生産性はそれほど上がらないんですよね。決まった仕様に基づいてコードを書き続けるような20世紀的な働き方であれば別ですが、線的に決まったことをこなすような型にはまった作業を続けている限り、2020年代以降の労働からイノベーションを起こすのはやっぱり難しいですよね。
「cubemint」アプリでは、キューブと呼ばれる音声AR空間を作り出し、その中で遠隔地にいる人とも自由に音声を通じた交流ができる。
メタバース上に再現する、働くこととゲームの本質
―雑談から生産的な行為が生まれることが、将来的には働くことの本質につながるということですよね。他愛のない雑談の中に、本質をつくような会話があって、それがお金という価値に変わっていく。この考え方は「AZITO」のコンセプト“Talk to Earn”にも近いように思えます。
深野
僕は労働やオフィスといったテーマよりも、どちらかというと人間の本能を重視しています。人間って頭では分かっていても楽しい方、心地よい方に流れてしまう生き物ですよね。ゲームは楽しくて中毒性があるのでついプレイしてしまいますが、仕事は生活するためにやるものという印象が強いと思います。こういった概念を根本から変えるには、仕事にゲームの要素を取り入れればいいんじゃないか、と。これが「AZITO」の当初の仮説です。全てのゲームに共通すると言われる4つの要素、「ゴールの明確さ・ルールの明確さ・即時のフィードバック・ユーザー自身の自発的な参加」をシステムに組み込み、ユーザー自身が条件を満たせる体験を設計する。これで仕事に関係なく“ついやっちゃう体験”を設計できるわけです。
―「RISA」で従来の働き方をオンラインに置き換え、さらに「AZITO」でブロックチェーンゲームの要素を取り入れることで、従来の働き方を進化させようとしていますね。
深野
チームメンバーと協力して共通の目的を達成するという点では、オンラインゲームも仕事も本質は同じだと思っています。ただ、仕事の場合、どこまでがチームで、自分の作業はゴールにどう紐づいてるのか、といった細かい部分が明確化されていません。加えて、報酬も月々支払われる給料だけなので、日々の業務がどう報酬に結びついたか把握しづらいんですが、NFTを組み込めれば、インセンティブやタイミングを簡単にデザインできます。「RISA」の場合だと、同じ空間で会話をする、相手の状況が理解できるというところまでしか実現できていませんが、ユーザーがアクションを起こしたときの即時のフィードバックや、経験値やレベルといったインセンティブの幅を「AZITO」では重視していきたいと思っています。
“Talk to Earn(話して稼ぐ)”というコンセプトでメタバースの新領域を開拓する「AZITO」。サービスのリリースは2022年9月の予定。
―ゲーミフィケーションの要素はわかりやすいものの、導入できる会社や業種が限られ、士業や行政などでは導入が難しいイメージがあります。メタバースのサービスが社会に幅広く浸透するために乗り越えるべきハードルとして、レイテンシの問題や解像度、インタラクションなどが挙げられますが、どういった課題を念頭に考えていますか?
深野
テクノロジーの発展の歴史では、まずカスタマー向けサービスが先行して流行した後に、徐々にビジネス向けに広がっていく流れがありますが、メタバースは現時点でも個人に浸透しているわけではないですよね。グローバルでも様々なメタバースプロジェクトが出てきていますが、実際のDAU(1日の使用者数)はとても少なく、投資家がビジネスの場として活用しているのが現状です。メタバース上で生活できる「Second Life」も大企業がバーチャル空間の土地を購入して注目を集めていましたが、プラットフォームを活用したコンテンツや楽しさは未だにユーザーに提供できていないと思います。
「RISA」もビジネス向けに展開してはいますが、ユーザーが自分なりのユースケースを見つけて、メタバースでしかできない体験や出会いを発見してほしいと思っています。企業が展示会場を出店したり、オフィスを作ってみるといった形で徐々に広がっていくと思っています。まずはメタバースで何をするかという問いに解を出して、定着させるための仕組みを作るところが第一歩かなと。「AZITO」でも「会議に参加すればトークンがもらえる」だけでなく「3人で遠くの森の木を取ってくればトークンがもらえる」といった形で出会いを誘発するゲーム的な仕組みや体験を試行錯誤して作っています。
「AZITO」は現実と対になるようなもう一つの世界
―メタバースオフィスの場合、単一企業のみで活用されることが多く、義務化されると使いづらいところがあって、“つい使ってしまう”みたいな感じではありません。ただ、社外の人がメタバース上でウロウロしていたり、社員もほぼ常時ログインしているようになれば、ちょっと使ってみようかなという変化が生まれそうですね。
深野
メタバースを活性化するには「待機時間をいかに作るか」が鍵だと思っています。「Fortnite」や「PUBG」といったオンラインゲームの場合、ゲームの中でやることが明確だからユーザー同士でコミュニケーションが取りやすいんですね。敵を倒すというゴールが最初にあって、それを達成するためにユーザー同士のコミュニケーションが必要になってくる。ちょっとした待機時間で「普段どんなことしてるんですか?」などの雑談から仕事の話に発展していく流れがあって、ユーザー同士をいきなり会わせて「はい、対話してください」と言ってもなかなか活性化しません。
「パーティを作って展示会を見に行く」という形でデイリーミッションを仕掛けて、道中で「普段何してる方なんですか?」「この作品、どこが良いと思いました?」などの雑談を促すとか、会話の機会を作ることが重要だと思います。
「RISA」のサービス画面。背景画像やレイアウトもユーザーがカスタマイズでき、ゲーム感覚で”唯一無二のメタバースコミュニケーション空間”を実現できる。
―待機する場合、「ログインしてアプリを起動」していることが前提ですが、将来的にはディスプレイを指でスライドすればメタバースサービスに飛べる、といったシームレスな状況も考えられるかと思います。この辺りの現実世界とメタバースをつなぐ体験設計はどのようにイメージされていますか?
深野
人間って複数の人格を持ちたい生き物で、複数の人格を操作して様々な世界を行き来するのが理にかなっていると思っています。MMORPGの場合、女性ユーザーの大半が実は男性だとするデータがあったり、リアルでは発言しづらいことをツイッターのアカウントで発信して仲間を作ったりするわけですよね。そういう意味では、シームレスにつながることで複数人格の切り替えがメタバースで可能になるんだろうなと思っています。
―確かに「AZITO」でもマスクをかぶったビジュアルが印象的です。
深野
やはりカスタマー向けで大事だと思うのは「ありのままの自分」を出せる空間で、僕がメタバースに期待してるのもそこなんですよね。リアルだと社会的な立場とか責任といった制約がありますが、現実と対になるようなもう一つの世界がメタバースだと思っているので、そこでは性格、性別、名前、見た目といったあらゆる要素を一旦フラットにした上で、自分の好きな外見で本当に話したいテーマについて話せることが大事だと思っています。その上で、マスクも一つの象徴としてあり、マスクを被ることでより素が出せたり、より心の底からコミュニケーションが取れるような場を作っていきたいです。
「オーディオメタバース」空間では「聞き手」に価値
―多くのメタバースに関しては、ビジュアルが先に立つので現実世界で過ごしてる人格と違う人格を持てるところが大きいですよね。「オーディオメタバース」はそこに行けば誰かがいて、声でつながれるという点で、現実空間を重ねる発想のように感じられます。どちらかというと空間そのものに提供価値があるように思いますが、井口さんはメタバースの本質をどのようにお考えですか。
井口
「オーディオメタバース」の原型になった「Dabel」は視覚障がい者の方々が熱狂して使い始めたんですよね。アメリカではハンディキャップのある人が社会の前面に立ってアピールしたり、社会運動を形成したりする。彼らはコロナ禍以前から人と気軽に会うとか、公の場所で好き勝手にしゃべることができなかったわけです。「Dabel」で視覚障がい者の方が人をもてなしたり一緒にイベントを作ったりっていう営みを見てると、プラットフォームの中に既に生活空間が成立していたんですね。僕らは何ら道具立てを準備していないのに、彼らはリアルタイムでインタラクションができる空間を、あらゆる場所で形成していたんです。
社会的動物である人間同士が目的や理由、利害を共有して何かを解決したり価値を形成するという考えが労働の根底なのだと思います。待機という点では、メタバースを形成する要素は「聞き手」が重要だということに気がついたんですね。話すことは一見、生産的な行いに見えがちだけど、実は語りを促すような空気感や雰囲気とか、話を聞く態度や体制が整っていることがとても大きくて、哲学者やお坊さんでない限り聞き手のいない虚空に向かって話し続けるのは難しいし、生産性も上がりようがない。この気づきは本当に目から鱗でした。
―とても本質的なテーマですね。現実でもメタバースでも、聞き耳を立てる人がいないとそもそも空間が成り立たないということですね。
井口
人間が協力し合って空間を形成してミッションを達成する根本的な動機に、孤独があると思ったんですよね。孤独というネガティブに語られがちなマイナス要因があるからこそ、人間はチームを作ったり、助け合ったり、悩みを伝えたり聞いたりできる。僕自身の経験も含めて、孤独を解消するという課題感から始まっていて、孤独によって人は前向きにつながれるということを製品の形で具体化したのが「オーディオメタバース」なので、空間をいかに形成するかというところに製品が普遍的になるポイントがあると感じました。僕は大学で哲学を学んでいたので、根源的な話に行きがちなんですよね。そもそも起業家って、お金がなかったり人間不信だったり、恐怖感とか不安に苛まれてどん底を歩むようなものなので、人間の辛さとか苦痛とか、生きづらさを自分自身が実験台になって味わえるんですよ。
深野
確かに経営者はどん底に陥ることがよくあります(笑)。
井口
そういった点が、良くも悪くも製品開発に活かせる部分でもありますね。
知財図鑑の「妄想プロジェクト」では、アーティストのストリートライブの様子がキューブ内で演奏され、オン / オフ問わず参加できるシーンを描いた。
理想的な世界を共創し、わかり合える社会を実現するための挑戦
―ある会社でメタバースを活用する場合、現実とバーチャル空間との折り合いをつけたり、同期・非同期コミュニケーションの課題が出てくると思います。どのようなスタイルが望ましいと考えられますでしょうか?
井口
現実世界の方がより情報が豊かでクオリティが高いと考えがちですが、ARプラットフォームを開発している身からいえばそんなことはないと思います。現実世界で友達と話したりカップルでデートしているからといって、孤独や不安がなく人生を謳歌しているかといえばそんなことはなくて、日常の中で現実から乖離している感覚や孤独、不安を感じたりすることはあるので、オンラインかオフラインかというのはあまり関係ないかと。
深野
ほとんどの会社が出社と在宅が混在する形のハイブリットワークを採用していて、フルリモートの会社は極端に少ないです。それでも、オフィスから同じオンライン会議に参加してもハウリングが起きないようにシステムを工夫するなど、体験を改善すれば家でもオフィスでも快適にログインできる状態を実現できます。
チームの結束を強めるためにゲームや飲み会をやったり、共に楽しむ体験を作っていく同期コミュニケーションが重要ですが、仕事の生産性を高めるには、会議をドキュメント化して非同期で共有することも必要になります。効率性を重視する場面では非同期が向いているし、エモーショナルな部分で社員同士で体験を分かち合う場面では同期が向いているわけで、目的に合わせた使い分けが大切だと思います。
―同期・非同期で複数のアプリを使い分けるのはとても疲れますよね。例えばSlackのようなメッセージ機能を「AZITO」に実装することで双方に対応した究極のアプリも作れると思いますが、この辺りはいかがでしょうか。
深野
複数のアプリを切り替えるのは手間がかかるし、PC容量的に入れられるアプリの数にも限界があるわけですが、かといって、一つのアプリに複数のコミュニケーションツールを詰め込めば逆にUXが複雑で分かりづらくなってしまうので一番使いやすい方法をユーザー自身が選択するのが重要だと思います。
今後10〜20年でデバイス側も進化し、視界そのものをディスプレイとして扱える時代になればVRとARを簡単に切り替えられて、同期と非同期がうまく融合したUI・UXも必ず登場してきますのでそういった時代の流れに挑戦したいなと思っています。
―ハードが進化すれば、もはやログインという考え方そのものがなくなる気がしますね。「AZITO」や「Cubemint」で実現したいビジョンはどのようなものでしょうか。
深野
メタバースでは理想的な世界観が人によって様々なので、SF的なものやディストピア風のものなど、全ての人に寄り添ったサービスを作ることは基本的に無理だと思います。それを解決するには、ユーザー自身がクリエイターになって「AZITO」の世界観やキャラクターを共創するという考えがとても重要だと思っています。こういった仕組みを実現するためにサービスが成長したらユーザーが持っているトークンやNFTの価値が高まっていくといった形でユーザーと作り手のインセンティブの方向性を揃えていくことができればと思います。
井口
「オーディオメタバース」の原型は、ドーム状の空間に誰かがワープしてきて、そこに向かって「おーい」と呼びかけると、誰かが答えてくれるというもので、このイメージを形にしたいと思って作り始めました。アバターの外観がない上に、声自体がエモーショナルなので、ユーザー自身の心の状態がストレートに表出する。まるで『攻殻機動隊』の”ゴースト”同士が空間の中で戯れてるような感じで、視覚的なメタバースと違ってユーザー自身がオーラ的な存在になるんですよね。
このプラットフォームで分断や孤独のない世界を実現できるかどうかはまだ分かりませんが、人間同士が自然と仲良くなって、みんなが分かり合える社会を実現するのがこれからの僕らの挑戦ですね。
―声の主が見えない分、本当に存在する人なのかどうか分からないというゴースト的な面白さはありますよね。デバイスの進化とともに、サービス側の様々な実験や検証が深まることで、人それぞれの理想のメタバースやコミュニケーションが自由に選択できる未来が訪れることを楽しみにしたいと思います。お2人とも、本日はどうもありがとうございました。
「オーディオメタバース」のイメージ。リアルな空間に音声のAR空間を重ね、多層的な仮想体験を作り出している。
Interview:荒井 亮/Text:柴田 悠
株式会社 OPSION
エンターテインメント性のあるバーチャルオフィス「RISA」や、会話するだけで暗号通貨がもらえるメタバースサービス「AZITO」を提供するメタバース界のイノベーター。「世の中にVISIONのあるOPTIONを」をミッションに、誰もが心の声に従って人生を選択し、才能を開放・共有できる世界の創造を目指す。
エンターテインメント性のあるバーチャルオフィス「RISA」や、会話するだけで暗号通貨がもらえるメタバースサービス「AZITO」を提供するメタバース界のイノベーター。「世の中にVISIONのあるOPTIONを」をミッションに、誰もが心の声に従って人生を選択し、才能を開放・共有できる世界の創造を目指す。