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2026.06.11
レポート
「第一回 Factory Pride Award」初代グランプリが決定! 製造業の未来を照らすロールモデルが誕生

第一回「Factory Pride Summit 2026」での最終プレゼンを経て、初代グランプリ・観客賞をコマニー株式会社がダブル受賞。
一般社団法人 Factory Pride Association(代表理事:小林永典)は、2026年5月29日(金)に東京ミッドタウン八重洲カンファレンス5Fにてビジネスカンファレンス「Factory Pride Summit 2026」を開催しました。
同イベント内にて、製造業における優れた取り組みを発掘・表彰する「第一回 Factory Pride Award」の最終審査および授賞式を執り行い、ファイナリストである受賞企業6社による熱いプレゼンテーションを経て、初代グランプリおよび観客賞が決定しました。
■ 速報:第一回グランプリ・観客賞の審査結果
本アワードは、現場の創意工夫を「誇り(Pride)」として可視化し、業界全体で共有可能な知見へと昇華させることを目的としています。当日は多数の来場者と審査員が見守る中、独自の挑戦を続けてきた6社が登壇。厳正な最終審査と会場投票の結果、以下の通り各賞が授与されました。
初代グランプリ 【コマニー株式会社】
取り組みの名称:「自慢したくなる工場プロジェクト」〜現場に“間”をつくり、共創の力で技術と人の価値を創り出す工場づくり〜
観客賞(会場投票) 【コマニー株式会社】
取り組みの名称:「自慢したくなる工場プロジェクト」〜現場に“間”をつくり、共創の力で技術と人の価値を創り出す工場づくり〜
会場からの投票で最も多くの支持を集めた「観客賞」、そして最高賞である「グランプリ」の両方をコマニー株式会社がダブル受賞しました。
〈受賞コメント〉
以前は何を作っているか分からず単調な作業に感じて辞めてしまう人もいたと語りました。しかし、コマカフェを通じて自分たちが生産した製品が形になって目の前にあることで世界への貢献を実感し、誇りを持てるようになりました。
〈審査員コメント〉
工場の中に人間性を再現し、仕組みで熱い人間を増やしていく取り組みを、最も体現していたのがコマニーでした。(小林 永典 氏(株式会社コプレック 代表取締役社長 / 一般社団法人Factory Pride Association 代表理事))
『間づくり』という大きなコンセプトのもと、52人の有志から始まった活動プロセスは、他社でも真似できる素晴らしいモデルです。その再現性の高さを評価しました。(青島 矢一 氏(一橋大学イノベーション研究センター 教授)、津田 匡保 氏(株式会社ファンベースカンパニー 代表取締役社長/CEO/CHO))
■ 登壇した受賞企業6社の取り組み(五十音順)
1. アズビル株式会社 湘南工場
取り組みの名称:KASETZ ― 工場の挑戦をひらく舞台
取り組みの概要:120年続く会社で、"やっちゃおう"を合言葉に工場内に立ち上げた仮設空間「KASETZ」。肩書を捨てた"仮の姿"での挑戦が、既存組織では起きなかった創発を生みはじめている。
〈受賞コメント〉
挑戦したい気持ちがあっても時間の不足や周囲の目を気にして行動できない環境を変えるため、「仮説には誰でもやっていい、失敗していいという空気」を作りました。役職や肩書きを捨てた「仮の姿」で参加し、個人の経験や好奇心からアイデアを生み出すことを重視しています。「やっちゃおう」という言葉を掲げ、やらされ仕事ではなく自分ごととして楽しむ変革を目指しました。
〈審査員コメント〉効率や安全を守る中で消されがちな「人間性」を取り戻し、新しいアイデアを生み出そうとする姿勢を高く評価しました。失敗しても良い雰囲気作りの一環として、上司の失敗談を「おみくじ」にする仕掛けなどを、コミュニケーションを促進する素晴らしいアイデアです。(小林 永典 氏(株式会社コプレック 代表取締役社長 / 一般社団法人Factory Pride Association 代表理事))
2. 株式会社エイト
取り組みの名称:工場再生からはじまる“つくる仲間”のつながり
取り組みの概要:廃業寸前だった工場を再生し、オリジナルブランド「レピヤンリボン」や工場見学、ワークショップ、ファクトリーショップを展開。工場を“つくる人が集まる場”として開き、地域や手芸文化との接点を広げている。
公式サイト:https://eightribbon.jp/
〈受賞コメント〉
福井県にある廃業寸前の織物工場を2015年に引き継ぎ、ファクトリーブランド「EIGHT RIBBON(エイトリボン)」を立ち上げました。作る人を増やすため、2020年からは工場見学を開始し、昭和の雰囲気を残す工場をリノベーションしました。リノベーションでは、昔の人が書いたメモをあえて残すなど「歴史と愛着を残す」ことを大切にしています。敷地内に「リボンズカフェ」を設け、ミシンを使ったストラップ作りの成功体験を提供しているほか、リボンを主役にした服作りや独自のアワード開催など、関係人口とコミュニティ作りに注力しています。
〈審査員コメント〉地域にとって大きな財産である技術や文化に惚れ込み、それらを消滅から救い守り抜いた行動を、「地域にとってものすごい大財産」であると感銘を受けました。(小林 永典 氏(FPA代表理事 / 株式会社コプレック 代表取締役社長))
【審査員コメント(一次審査より)】 オープンファクトリーを単なる工場見学に留めず、自社ブランド、地域、手芸文化との接点づくりまで包括的に展開している。小規模企業ながら、地域と双方向に関係を育てながら、工場を“つくる人を応援する場”として開いている点が素晴らしいです。
3. コマニー株式会社
取り組みの名称:「自慢したくなる工場プロジェクト」〜現場に“間”をつくり、共創の力で技術と人の価値を創り出す工場づくり〜
取り組みの概要:製造現場における部門間の対話や価値共有の不足に向き合い、「間づくり研究」の一環として「COMA cafe」を設置。人が自然に交わる場を通じて、技術や仕事への誇りを育む風土づくりを進めている。
〈受賞コメント〉
パーティション専業メーカーとして、「全従業員の物心両面の幸せを追求する」という理念のもと「間づくり」を推進しています。本気で工場を変えたいと手を挙げた52名でキックオフし、9つのチームに分かれて活動しました。そのうちの一つのチームが、コミュニケーション不足の解消を目的に工場敷地の中央に「コマカフェ」を設置しました。自社製品を活用したこのカフェには「コマボード」という情報共有ツールが置かれ、製造現場の人が営業の納入事例を見られるようになり、部門間の横連携が強化されました。
〈審査員コメント〉「間づくり」という大段なコンセプトのもと、52名の社員が分析を行い、クリエイティビティが交差する場を工場内に作り出した点をが、素晴らしく革新的です。(青島 矢一 氏(一橋大学イノベーション研究センター 教授))
【審査員コメント(一次審査より)】 休憩所という見過ごされがちな場所に新たな価値を見出し、「間づくり」を通じて部門や人のつながりを生み出そうとしている。製造現場における対話や共創を促す空間づくりを示している点に可能性を感じました。
4. シンニチ工業株式会社
取り組みの名称:「工場を、誇ろう」を通して社員が誇れその家族も誇れる工場を目指す挑戦
取り組みの概要:自社で磨き上げた環境改善や制度構築の歩みが「ファクトリープライド宣言」の理念と共鳴し躍動。社外との共創や地域交流「シャインデー」、社会科見学が飛躍的に活発化し、社員とその家族が誇れる工場づくりを進めている。
〈受賞コメント〉
以前は皆が「他人事」だった職場の空気を変えるため、従業員自らがリーダーに立候補して「ファクトリープライド宣言」を行いました。「新日にしかできない価値ですべての人を幸せにする」という理念を掲げ、DXを活用した「工場を心しい」の運用や、社員の巻き込みを実施しました。自ら他社へ塗装を学びに行く従業員が現れたり、小学生を招いたファクトリーツアー、廃材を活用したパターゴルフなどを楽しむ社員デーを開催したりと、活動が地域や家族へと波及していきました。
〈審査員コメント〉職場環境の整備からスタートし、他社との交流や地域社会の巻き込みへと活動がどんどん広がっていくプロセスが、ファクトリープライドの精神に合致しています。(青島 矢一 氏(一橋大学イノベーション研究センター 教授))
【審査員コメント(一次審査より)】 「工場を、誇ろう」のメッセージを起点に、社員自身が環境改善や地域交流に取り組む活動へと広げている。資料には熱量が凝縮されており、写真からも現場の雰囲気や社員の誇りが伝わるなど、小規模企業におけるFactory Prideの好事例といえる。
5. 中部合成樹脂工業株式会社
取り組みの名称:広報活動とエンゲージメント向上
取り組みの概要:SNS運営、社内報の発刊、地域イベントへの参加などを通じて、社内外に向けた広報活動を推進。社員の会社への愛着や社外からの関心を高め、採用や社内コミュニケーションにもつながる取り組みを進めている。
〈受賞コメント〉
採用促進と社内エンゲージメント向上を目的とし、「ジャンヌダルク」と名乗る広報担当者が活動を牽引しました。Instagramの運用を通じて2名の採用に繋がったほか、部署ごとの「誇れる姿」を宣言する動画を投稿し、モチベーション向上を図りました。YouTubeの活用や、27名の内定に繋がった新卒向けLINEアカウントの運用、社内報の作成も行っています。さらに、地域イベント「豊川大伝祭」の企業ブースに有志で出展するなど、社内が明るく活発に変化しました。
〈審査員コメント〉職人が嫌がることの多い広報活動において、中の人の熱量を外に伝えてファンを作るために、勇気を持って突破口を開いた姿勢を称賛します。(津田 匡保 氏(株式会社ファンベースカンパニー 代表取締役社長/CEO/CHO))
【審査員コメント(一次審査より)】 SNS運営、社内報、地域イベント参加など、複数の取り組みを社内外へ広げ、実装している。広報活動を軸に、社員のエンゲージメントや社外からの関心を高める全社的な取り組みに結実させた背景を、是非プレゼンでも聞いてみたいです。
6. 藤田金属株式会社
取り組みの名称:フライパンビレッジを起点とした工場の価値化とブランドづくり
取り組みの概要:OEM中心の町工場から自社ブランド開発へと転換し、鉄フライパンを軸に独自の商品展開を確立。オープンファクトリー「フライパンビレッジ」を通じて、見学・購買・体験が一体となったブランド発信拠点をつくっている。
〈受賞コメント〉
2010年には毎月赤字という苦境にありましたが、設備と技術を活かして鉄製調理器具を復活させ、昨年には年間28万個を販売するまでに成長しました。2021年には工場を改装してショップを併設し、作っている商品が売れる姿を職人が直接見られる環境を作ることで、モチベーションや品質の向上に繋げました。アパレルブランドと協業したワークウェアの作成、ミズノのバット廃材を活用した「スイングパン」、電通とコラボした鉄分を補う「お味噌汁パン」、近畿大学との産学連携、さらには海外20カ国への展開など、多岐にわたる挑戦を続けています。
〈審査員コメント〉「本物を作る」ことで自然とファンが増えていくという納得感のあるストーリーと、働く人を幸せにするという思想が見事に融合しています。(津田 匡保 氏(株式会社ファンベースカンパニー 代表取締役社長/CEO/CHO))
【審査員コメント(一次審査より)】 オープンファクトリーと商品開発・販売を結びつけ、工場の価値をブランド発信へと転換している。鉄フライパンを軸にした独自の商品づくりや異業種とのコラボレーションなど、取り組みとして完成度が非常に高いです。
審査員代表
小林 永典 氏(株式会社コプレック 代表取締役社長 / 一般社団法人Factory Pride Association 代表理事)
青島 矢一 氏(一橋大学イノベーション研究センター 教授)
津田 匡保 氏(株式会社ファンベースカンパニー 代表取締役社長/CEO/CHO)
■ 当日の熱気溢れる「Factory Pride Summit 2026」
当日はアワード授賞式のほか、製造業の未来をディスカッションするトークセッション、さらには登壇者や参加者が一堂に会するアフターパーティーも開催され、企業の枠を超えた活発な交流と熱いネットワークが構築されました。工場を社会に開く挑戦、社員の誇りを育む組織づくり、ものづくりの価値を再定義するブランド発信など、それぞれ異なる角度から製造業の未来を照らす先進的な事例が共有され、盛況のうちに幕を閉じました。
「Factory Pride Summit 2026」開催概要
日時:2026年5月29日(金)13:00 - 20:00
会場:東京ミッドタウン八重洲カンファレンス 5F
内容:トークセッション、第一回 Factory Pride Award 最終プレゼンテーション・授賞式、アフターパーティー
主催:一般社団法人Factory Pride Association(FPA)
メインパートナー:株式会社電通総研、株式会社GSユアサ
協力:POTLUCK YAESU
(取材・文:福島 由香)


