No.338

2021.05.28

真空状態のチューブ内を高速移動する輸送システム

Virgin Hyperloop(ヴァージンハイパーループ)

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概要

Virgin Hyperloop(ヴァージンハイパーループ)とは、Virgin Group傘下の輸送技術会社であるVirgin Hyperloopが開発した、真空状態のチューブを用いた高速輸送システム。イーロン・マスクが2012年に提唱したもので、真空引きしたチューブ内を磁気浮上式のポッドが高速移動する。ハイパーループ自体は世界各国の企業が商業展開に向けて取り組んでいるが、一部の科学者たちからは実現が困難だと言われてきた。Virgin Hyperloopは高速ポッド・システム初の人員輸送テストを実施し、2030年の開業を目指して安全認証を取得に取り組んでいる。

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なぜできるのか?

真空チューブと浮上式ポッドによって空気抵抗を低減

地上を高速で移動する際は空気抵抗が課題となる。ハイパーループはチューブ内の気圧を海抜20万フィートに相当するまで下げ、その中を磁気式のポッドが浮いた状態で走行するため、空気抵抗を低減することができる。

新幹線を超える最高速度

イーロン・マスクが提唱したハイパーループは最高速度時速1200キロでの移動が実現できるとされている。テスト運行の結果、Virgin Hyperloopは時速960kmの速度での移動を計画しており、それが完成すると、ジェット旅客機の2倍、高速鉄道の4倍で移動が可能となる。

二酸化炭素排出量の低減

従来の輸送システムと比較して、ハイパーループのエネルギー消費はわずかで、直接的な二酸化炭素排出量はゼロと言われている。飛行機の運航による二酸化炭素排出量が問題視される中で、飛行機と同等の移動速度を保ちながら環境負荷の低減を実現することができる。

価格を抑えた直接輸送を実現

Virgin Hyperloopの最大乗車定員は28名としているが、集団走行しつつ分岐点でそれぞれの目的地へ進むため、1時間に何千人もの乗客を手頃な価格かつオンデマンドで目的地に輸送することができる。天候や渋滞の影響を受けることもない。Virgin Hyperloopは、輸送システムが過負荷になっているインドと、社会インフラの需要が増加しているサウジアラビアで最初の旅客ルートを開発しようとしている。

相性のいい産業分野

環境・エネルギー

再生可能エネルギーを利用することによる、輸送時の環境負荷の低減

旅行・観光

手頃な価格での高速移動の実現による、観光業界の活性化

生活・文化

人の密集を避けた移動による感染症対策

流通・モビリティ

物流業界での活用による、ドライバーの労働環境改善

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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