No.348

2021.06.30 Upload

建築材料並みの強度を持つ、完全植物由来の新素材

廃棄食材による新素材製造技術

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概要

廃棄食材による新素材製造技術とは、捨てられる食材を利用して、コンクリートの4倍近い曲げ強度を有する完全植物由来の新素材を作る技術。原料を細かく粉砕した後に加熱成形を実施し、建材等にも使用可能なレベルの強度を付与することに成功した。実用化され活用が進めば、食品ロス対策やこれまで行われてきた資源採取が不要になることによる環境負荷低減が期待される。

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なぜ生まれたのか?

日本では本来食べられるのに廃棄される「食品ロス」が約600万トン、食用にできない「不可食部」約1,930万トンが廃棄物処理されている(2018年時点)。このうち約5割は肥料化・飼料化されていると言われるが、製品の単価が低いため収益を上げることは容易ではなく、肥料等に高付加価値を付けつつ食品廃棄物を活用する新たな方法が求められてきた。また堆肥については年間8,300万トン発生する家畜糞尿も活用されており、その結果農地における窒素過多が進行していることも指摘されている。よって、これらを解決する一つの手段として完全植物由来の新素材開発が進められた。

なぜできるのか?

コンクリートの曲げ強度の4倍の強さ

原料をフリーズドライ、粉砕した後に、様々な条件で加熱成形を実施することで、完全植物由来の新素材に十分な強度を与えることが可能に。熱圧縮成形において、熱により食材中の糖類が軟化し、圧力により糖類が流動して隙間を埋めることで、強度が上がったものと見られている。その強度は一般的なコンクリートの曲げ強度の4倍で、建築材料として使用することもでき、処理を施せば耐水性が求められる環境での使用も可能となる。

廃棄野菜の使用による環境負荷の低減

この技術の活用することで、廃棄野菜や果物の焼却や埋め立て、および家畜糞尿と合わせて堆肥化することによる窒素過多を回避できる。また、これまで素材を作るために必要だった資源の採取が不要となるため、環境負荷の低減が期待できる。

強度を維持したまま味の向上が可能

製造条件を調整することによって、原料となる野菜や果物の色・香り・味を残すことができるだけでなく、質感の維持もしくは除去、色の調整などを行い、調味料を加えて味を向上することが可能。使用後には食用にできるような素材としての活用も期待される。

相性のいい産業分野

環境・エネルギー

廃棄食材のごみ処理過程で発生する温室効果ガスの低減

住宅・不動産・建築

3Dプリンターと組み合わせた、環境に優しい素材のプリント住宅

教育・人材

野菜や果物の色・香り・味を残した、幼児向けの食育用玩具

食品・飲料

使用後には食べられる食品の個包装資材

アート・エンターテインメント

グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』の「お菓子の家」を再現した、食べられるテーマパーク

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : 東京大学生産技術研究所

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