No.355
2021.06.23
遺体の画像診断により死因を究明
Autopsy imaging(オートプシー・イメージング)
概要
Autopsy imaging(オートプシー・イメージング)とは、CTやMRI等の画像診断装置を用いて遺体を検査し、死亡時の病態や死因究明等を行う検査手法。「死亡時画像診断」と訳され、事故や事件、救急搬送など体の表面だけでは死因が不明確なケースや、遺族が死因追及を望んだ際などに活用できる。第三者の評価・監査が困難な解剖と比べ客観性が高く、非破壊検査なため遺体を損なうことなく短時間で実施することができる。解剖率の低さによる死因不明ケースの解消や、死後直近のデータ拡充とAI(人工知能)との組み合わせによる医学進歩の加速が期待されている。
なぜできるのか?
最終局面の病状進行・変化をとらえる画像撮影
生前の検査画像は、検査自体が悪影響を及ぼす可能性があることなどから、終末期に至る以前に撮影されることが多い。Autopsy imagingは、終末期に進行・変化した疾患の状況を撮影できるため、最終局面での詳細な死因追及が可能となる。
第三者が閲覧可能な撮影画像
Autopsy imagingで撮影された画像は、いつでも誰でも必要な時に再生可能で、第三者が評価(監査)することもできる。従来のような、解剖医だけが状況を知りうるといったブラックボックス化を防ぐ。画像がストックできるためAI(人工知能)との親和性も高く、医療データなどと掛け合わせることで新たな治療法の開発に寄与する。
遺族が受け入れやすく、実施しやすい検査方法
Autopsy imagingによる検査は遺体を破壊することなく、短時間で実施・画像提供が可能。従来手法である解剖は遺体損壊を伴うため遺族の心理的なハードルが高かったが、Autopsy imagingはそれを解消、死因究明の機会も増やせる。詳細確認のためAutopsy imaging後に実施することがあった解剖も、活用の進展で今後なくなることも期待される。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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