No.412
2021.09.07
生産過程を可視化する、スマート農業のデータ流通基盤
SMAGt(スマッグ)
概要
「SMAGt(スマッグ、SMart AGriculture Traceability)」とは、ブロックチェーン技術によって、農産品の生産履歴から出荷、流通、販売までを記録するスマート農業データ流通基盤。地場農産品のブランド化や、食品偽装の防止、輸出拡大に取り組む自治体や地域商社等の農業関係者がSMAGtを活用することで、データを効率的に取得しながら消費者に対して安全性の高い農産品を提供できるようになると見込まれている。
なぜできるのか?
ブロックチェーン技術によるトレーサビリティの向上
地方経済の活性化に向け、多くの自治体において農産品など地域資源のブランド化を支援・促進する動きが拡大している。しかし、それらの取り組みには産地偽装の問題があり、その対策に決定的な解決法がない状況だ。SMAGtは、真正性と可塑性、透明性を兼ね備えたブロックチェーン技術を活用し、耐改ざん性の高いプラットフォームで、農薬・堆肥等の使用状況や収穫時期・量の予測等の生産管理データから、出荷・流通・販売データまでを可視化することが可能。これによって、農業事業者は消費者に対し農産品の安全性や生産者のこだわりを提供したり、輸出規制に対応したデータを効率的に取得することができる。
地域の課題解決に貢献する検証事例
SMAGtを開発したISIDでは、全国各地でSMAGtを活用したさまざまな実証実験を行っている。東日本大震災及び福島第一原発事故で被害を受けた農業と観光の再生に向け、町の新たな特産品として国産バナナの栽培に取り組む福島県広野町振興公社では、2019年10月に行われた「ふたばワールド2019」において、SMAGtのデータを活用して消費者に安全性や品質の高さをアピールすることに成功した。他にも、横浜市で行われた実証販売では、商品パッケージに生産履歴やストーリーが閲覧できるWebページへ誘導する二次元コードを貼り付け、購入者の3割を超える人がWebページへアクセスするという結果に至った。このような各地域での社会実装に向けた検証の中で、生産者と消費者を繋ぐストーリーを作ることで、農産品のブランド力向上と販売向上に貢献している。
相性のいい産業分野
- 食品・飲料
信頼性の高いデータの可視化による、農産品ブランディングや輸出拡大への貢献
- 農業・林業・水産業
各地域の農産品のデータをまとめた「日本の農作物マップ」
- メディア・コミュニケーション
「推し」の農産品を見つけて支援する、安全性の高いクラウドファンディング
- 旅行・観光
地域の農産品に関するデータをQRコードにして観光スポットに貼る販売促進活動
- 環境・エネルギー
料理に使用された食材の情報やストーリーがわかるレストラン
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © Getty Images