No.525
2021.12.06
紙のように薄くて軽い、曲げられる照明パネル
ヒカルカミ
概要
「ヒカルカミ」とは、紙のように薄くて軽く曲げられる、汎用性の高い有機EL照明パネル。特定の有機物に電圧をかけると光るという有機ELの性質を活用し、点や線ではなく面で特定箇所を光らせることができる。面を光らせる従来技術のガラス基板タイプを進化させ、約0.2mmの薄さ・軽さと曲げても割れないしなやかさを追加し、より汎用性の高い照明を実現している。紙やプラスチックなどへの馴染みもよく、誌面や製品パッケージ・ラベル、製品自体への活用など、様々なプロダクトに付加価値をもたらすと期待される。
なぜできるのか?
有機ELの発光現象を用いた照明設計
有機物に電圧をかけることで有機物自体が発光する、有機EL(エレクトロルミネッセンス)の現象を照明設計に活用。電圧がかかると光る有機物をプラスとマイナスの電極で挟んだ薄い膜を生成し、ガラスやプラスチックフィルムの上に貼付けて面で成膜し、有機EL照明を作製した。有機物を含む膜は、1mmの1,000分の1以下(1μm)の薄さで生成されており、トータルで約0.2mmの薄さの照明パネルを実現。開発には、コニカミノルタがカメラや写真フィルム事業で培った光学設計技術や、有機材料設計技術、成膜設計技術などが用いられている。
用途に応じた3タイプの仕様
ヒカルカミの仕様は3タイプあり、用途に応じて活用が可能。有機EL照明パネル単体のもの、電源スイッチのワイヤーをつなぐことができる薄く柔軟性のあるプリント基板(電子回路を配線した板)を付けたタイプ、非接触で電気が通せるNFC(詳細は下記)アンテナ付きのタイプとがある。照明の光は白色と赤色の2種類。ヒカルカミをあらかじめ設置したグリーディングカードも展開している。
NFCを用いた非接触・電源不要の発光
ヒカルカミの仕様の1つとして、NFC(Near Field Communication:近距離無線通信)を用いたヒカルカミを作製。NFCは、それを搭載した機器同士を近づけるだけで通信が可能な技術で、交通系ICカード(自動改札)や電子マネー決済などに使用されている。ヒカルカミにNFCのアンテナを取り付け、非接触で給電ができ電源の設置も不要なタイプを作製した。NFCアンテナ付きのヒカルカミは、NFCカードリーダーにかざしたり、スマートフォンのNFC読取りアプリでのスキャンなどにより発光する。
相性のいい産業分野
- 製造業・メーカー
商品パッケージやプラスチック製品の付加価値として活用
- メディア・コミュニケーション
誌面広告の訴求ツールとして、また本自体の仕掛けとして活用
- 生活・文化
施設案内書やパンフレットなど、注意事項や伝えたい部分に利用
- スポーツ
夜間のスポーツやアウトドアで手軽に身につけられる光源製品の開発
- 食品・飲料
商品の設置期間が長くなると値引された値段が発光表示されるパッケージの開発
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © コニカミノルタ 株式会社