No.544
2021.12.24
二酸化炭素排出量ゼロ以下の環境配慮型コンクリート
CO2-SUICOM(シーオーツースイコム)
概要
「CO2-SUICOM(シーオーツースイコム)」とは、製造過程での二酸化炭素(CO2)排出量をゼロ以下にする環境配慮型コンクリート。コンクリートはその主原料であるセメントの製造時に大量のCO2が発生するが、CO2-SUICOMは、主原料のセメントの半分以上を特殊な混和材(コンクリートに混和される薬剤の総称)や産業副産物に置き換えることで、トータルCO2排出量を大幅に削減する。さらに、使用される混和材はCO2との反応によりCO2を吸収し、固まる性質を持つため、結果として製造時のCO2排出量をゼロ以下にすることができる。現在、CO2-SUICOMはメーカー協力のもと生産ネットワークの整備が進められており、価格低下や製造工程の効率化、適用領域の拡大により、より多くの普及が期待できる。地球温暖化対策の一つとしてさらなる開発・活用が期待されている。
なぜできるのか?
セメント使用量を大幅に削減
CO2-SUICOMは、コンクリートの原料として、セメントの半分以上を化学工場から出る副生消石灰を原料とする特殊な混和材や、石炭灰などの産業副産物に置き換える。これにより、製造時に大量にCO2を排出するとされるセメント製造時のCO2排出量を、大幅に削減することに成功している。
コンクリート製造時に大量のCO2を吸収・固定
セメント代替原料の一つである特殊混和材(γ-C2S)は、CO2と反応するとCO2を吸収(炭酸化反応)し、硬化する性質を持っている。この性質を利用し、コンクリート原料のセメントの半分以上をこの特殊な混和剤に置き換え、コンクリートを硬化させる際に高濃度のCO2と接触させることで、大量のCO2を内部に吸収したまま、中で貯めて固まらせることができる。
植物や生物に優しい性質
一般的なコンクリートが強アルカリ性であるのに対し、CO2-SUICOMは炭酸化反応によってコンクリートのpHが中性に近くなる。そのため、従来のコンクリートよりも植物や生物に優しく、植木鉢などに活用しても親和性が優れ、一般的なセメント鉢に比べて植物の成長が大きくなることが確認されている。