No.592
2022.02.11
プラスチックの廃棄問題と食料問題を同時解決
バイオプラスチックを肥料に変換するリサイクルシステム
概要
「バイオプラスチックを肥料に変換するリサイクルシステム」とは、植物を原料としたプラスチック(再生可能な生物由来のバイオマス資源を原料にしたプラスチック)をアンモニア水で分解し、肥料となる尿素に変換するリサイクルシステム。このリサイクルシステムで生成した尿素が植物の成長促進につながることを研究により実証した。プラスチックは現在70%以上が廃棄されており、廃棄問題への対策が急がれる一方で依然需要は大きく、地球環境の保全とプラスチック利用を両立させる革新的なリサイクルシステムの開発が望まれていた。この技術が活用されることにより、プラスチックの廃棄問題と人口増加に伴う食料問題の同時解決に貢献することが期待されている。
なぜできるのか?
バイオプラスチックを「尿素」と「イソソルビド」に分解
プラスチックの一種で、多数の分子単体(モノマー)が連結した高分子(ポリマー)であるポリカーボネートは、アンモニアで分子単体(モノマー)と尿素に分解できる。実験では、バイオマス資源であるイソソルビドを結合させたポリイソソルビドカーボネートをアンモニア水に入れて約90度で加熱し、イソソルビドと尿素に分解した。
分解生成物が肥料として有用
研究チームは、得られた尿素やイソソルビドを用いて植物(シロイヌナズナ)の生育実験を実施。得られた尿素が肥料として問題なく働くことが明らかになった。また市販の尿素とイソソルビドよりも、この分解生成物を用いた場合が、シロイヌナズナがよりよく育つことが確認された。
バイオプラスチックを用いたエコシステム
研究チームは、プラスチック素材としてポリイソソルビドカーボネートの活用を提案。分解により生成された尿素は肥料として使用し、イソソルビドは結合させポリイソソルビドカーボネートとして再利用することで、循環型のエコシステムが可能だとしている。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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