No.593
2022.03.28
“完璧ではない美しさ”を追求したバーチャルヒューマン
MEME(メメ)
概要
「MEME(メメ)」とは、不完全な魅力と意思を持ったバーチャルヒューマンで、頭部がCGでつくられ、リアルな人間の体と合成された架空のキャラクター。顔にそばかすや痣を施す、団子鼻にするなど、コンプレックスを造形に盛り込むことでリアルなビジュアルを追求している。Instagramを介して日常生活や自身が制作したアート作品を投稿しており、人間としての感情・思想のストーリーテリングに重きを置くことで、感情の多様性を組み込み、一線を画した新しい価値観のバーチャルインフルエンサーの形を打ち出している。
実現事例 実現プロジェクト
au 5G AR Tour with Virtual Human “iru?”
au Design projectが手掛ける「au 5G AR Tour with Virtual Human “iru?”」は、多様性と文化発信の街・渋谷を舞台とした体験型アート作品ツアー。auによる5G技術を活用しており、MR(複合現実)グラスを装着することで、実在のヒューマンビートボクサーとARで出現するMEME(メメ)とが音楽とシンクロし、息の合ったダンスパフォーマンスを繰り広げる光景を鑑賞できる。
(※)本イベントはテクノロジーアートが集結する都市複合芸術祭『Media Ambition Tokyo』の一環として開催予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により開催延期をしている。
「ムダかどうかは、自分で決める。」
総合刃物メーカー・貝印株式会社は、『#剃るに自由を』をテーマとしたコミュニケーションの一貫として、バーチャルヒューマンMEMEを起用したグラフィック「ムダかどうかは、自分で決める。」を2020年8月から展開。地下鉄の電車広告をはじめとする都内各所に掲示されたほか、MEME自身もInstagramで剃毛や脱毛に関する固定観念を問い直すメッセージを投稿しており、多くの人の心をつかんでいる。
なぜできるのか?
リアリティを追求した造形
ベースとなる顔には独自開発したライティングリグを使用。最大解像度8Kのテクスチャスキャンでほくろの加工や肌のリファイン(精錬)を行なったほか、細かなメイクの表現は実際のモデル撮影時に使われるPhotoshopで微調整し、唇や眉毛などパーツごとにメイク用のレイヤーを制作している。
「痣」の表現
あくまでも不完全性やコンプレックスの象徴として痣をつけたが、実際に痣のある人達を傷つけかねないため、症状や歴史・文献などのスタディを経て企画。実際に顔に痣をもつ人達の協力を得てスキャニングしたデータをもとに作成したことで、文脈と表現ともにリアリティを高めることに成功した。
ヘアスタイルへのこだわり
「meme」の少し崩れたヘアスタイルは従来のCGキャラクターにはあまり見られないもので、現実の髪の構造の解析から行い、実際にスタイリストに髪の毛をセットしてもらったあとにリファレンスしている。「Xgen」という専用ツールを使用し、Instagramへの投稿も写真ごとにスタイリングのアレンジを施している。
相性のいい産業分野
- メディア・コミュニケーション
バーチャルヒューマンを広告や企業のアイコンとして使用
- 教育・人材
バーチャルヒューマンを活用したVR・AR接客サービス
- アート・エンターテインメント
バーチャルヒューマンがアーティストや表現者としてパフォーマンス
- スポーツ
メタバースで開催される、バーチャル選手によるスポーツ大会
- 生活・文化
個人をバーチャルヒューマンとしてモデリングするサービス
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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