No.874
2024.08.01
螺旋構造を持たない“緩むことのないネジ”
L/R neji(エルアールネジ)
概要
「L/R neji(エルアールネジ)」とは、一般的な螺旋(らせん)構造を持たない“緩むことのないネジ”。特殊な三次元構造を持つボルト・フォルムを開発して、右ねじと左ねじのナット同士を機械的に結合させ、緩まないネジを実現している。従来のねじは主に、時間経過などで失われる摩擦力に依存する螺旋構造を用いており、ねじの緩みを生じさせていたため、締結方法の異なるネジを開発した。緩まないことで、インフラやモビリティ、建物、設備、電子デバイス、医療機器などのあらゆる締結箇所の増し締め・点検作業を減らし、持続可能性を高めると期待されている。
なぜできるのか?
独自三次元構造の「L/Rボルト」
通常の螺旋構造ではなく、右螺旋と左螺旋を組み合わせたような特殊な三次元構造の「L/Rボルト」を開発。同じボルト軸に幾重にも溝を重ねて形成し、右ねじナットと左ねじナット両方の組み付けと、ナット同士の機械的な結合を実現している。両ナットが機械的に結合することで、相互に締め付け力を誘導。振動などでネジが緩みそうになると、ナットがぶつかり合う、または引っ張り合うことで、緩みを解消する。その性能は、世界最高レベルとされるNAS(米国航空宇宙局)の緩み試験規格NAS3350/3354に準拠した衝撃振動試験に合格。同試験規格の20倍以上の力で振動を加えた社内試験でも、緩むことなく試験をクリアしたという。
最適な断面形状の特定
「L/R neji」では、ネジ山の角度は70度が最適と特定し、ネジ山の断面形状として採用している。これまで推奨されてきた、ねじ山の角度=60度の規格にしばられず、試験を重ねて仮説・検証を繰り返し実施。引張強度・耐久性・締め付け・緩みなどの観点から、最適な角度を発見した。その他所要条件を満たせば、従来のねじと同等以上の強度を有するという結果を得ている。
多様な用途に応えるバリエーション
「L/Rボルト」と、目的に合わせた専用ナットを組み合わせて締結する仕組みで、多様なバリエーションを持たせている。例えば、一度締めたら外せないタイプ、所定の工具で取外し・再締結が可能なタイプ、ボルト上の任意の位置で固定できるタイプ、ナット1個で緩み止めが可能なタイプなどを展開。様々な用途やニーズに対応する豊富なバリエーションで、あらゆる箇所の締結を可能にしている。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
・特許第6715455号/第6766929号/第7014395号/第7249065号
・WO2016006598/WO2017183593/WO2018088282 etc.
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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