No.875
2024.08.01
紙と植物でプラスチックフリーを実現した、植物由来99%以上の新素材
PAPLUS(パプラス)
概要
「PAPLUS®(パプラス)」とは、植物由来プラスチックであるPLA(ポリ乳酸)に植物由来の紙を複合することで作られた植物由来成分99%以上(世界最高水準)の環境配慮型素材。これまでバイオプラスチックの弱点であった耐久性や耐熱性、成形の難しさを高度な技術で克服し、石油由来プラスチックに引けを取らない利便性を得た。役目を終えたPAPLUSは回収、再製品化し、その数や工程をサイト上で公開することで、新たなリサイクル意識を高めさせる。食器や容器だけでなく、建築資材や自動車内の装材の用途など、プラスチックに代わる新たなエコ素材として、活用の可能性が見込まれる。
PAPLUS®のリサイクル
ブラックカラーシリーズ
なにがすごいのか?
植物由来成分99%以上、石油由来成分をほぼ0%に削減
微生物によって、大部分を水と二酸化炭素に分解可能(※耐熱グレードは植物由来成分約86%、天然成分93%以上)
牛乳パックや企業排出古紙を原材料にし、紙の資源循環も実現
石油由来のプラスチック製品の代替になる強度・耐熱性・成形のしやすさ(※耐熱グレードの場合、耐熱性120℃)
回収から再製品化までの道のりを公開する消費者巻き込み型の新たなリサイクルシステム
なぜできるのか?
植物由来×植物由来の新たなかたち
紙のリサイクルをデザイン・プロデュースしてきた「カミーノ株式会社」が紙×PLA(ポリ乳酸)の斬新な組み合わせを企画。植物由来生分解性の紙に、同じ植物由来で生分解性を持つPLA(ポリ乳酸)を組み合わせることで、植物由来成分99%以上を実現。PLA(ポリ乳酸)とは、トウモロコシやサトウキビ搾汁のデンプンを発酵して得られる乳酸が主成分の生分解性プラスチック。紙とPLAは本来、混ざりにくいものだが、均一のペレット状に混錬するために特殊な技術と手間がかかっている。PLAに、廃棄される古紙を組み合わせることで、紙のリサイクルが可能になるだけでなく、従来のプラスチックにはない天然素材独特の風合いと手触りを生み出している。
バイオプラスチックの問題点を克服したモノづくりの技術
PLA(ポリ乳酸)はこれまで、耐久性、耐熱性、そして成形・加工の難しさなどが指摘されてきた。この問題を、生分解性プラスチック成形の第一人者である小松技術士事務所の特許技術を活用することにより克服した。またPLAと紙の複合によって生み出されたマーブル模様は、射出成形技術の一つとして特許を取得し、サステナブルな機能だけでなく、更なる美的外観の向上にも精を惜しまない。
製品のリサイクル数を消費者と共有
製品別、ロット別に生産数、回収数、再製品化数を記録し、サイト上で公開することで、リサイクル意識を消費者と共有するトレーサビリティを確立。ロットナンバーを、製品に同封されているトレーサビリティカードにて確認し、トレーサビリティのサイト内(https://paplus.jp/traceability/)に入力することで確認することができる。
相性のいい産業分野
- 官公庁・自治体
学校などで廃棄された古紙を再利用し、食器に再製品化して提供
- アート・エンターテインメント
天然素材の独特の風合い・手触り・匂いを用いて、自然の演出に使用可能なプラスチックの代替品として提供
- 資源・マテリアル
石油不足、紙の原料となる木材や水不足に貢献
- 製造業・メーカー
自動車や飛行機などの内装に、自然的で肌に良いプラスチック代替品として活用
- 医療・福祉
無機物な印象を与える医療用器具に、天然素材の風合いを活かした、見た目にも優しい医療器具の開発
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 株式会社 カミーノ