No.601
2022.02.16
地球と宇宙をケーブルでつなぐ輸送システム
宇宙エレベーター
概要
「宇宙エレベーター」とは、地球と宇宙の間をケーブルでつなぎ、電車のようにして気軽に宇宙への行き来を可能にする輸送システムの構想。上空36,000kmの位置(静止軌道上)に、地球の自転と同じ速度で周る静止軌道ステーションを設置し、そこから伸ばしたケーブルを利用することで、地球から宇宙へ人や物資を簡単に輸送できるようにする。全長96,000kmにも及ぶケーブルには、軽くて強い素材カーボンナノチューブを使用することで、自重に耐えられる軽さと強度の実現を想定。スペースシャトルやロケットよりも運搬効率が良く、経済的で環境への影響が少ないため、宇宙開発を進める輸送手段として、建設の実現が期待されている。
なぜできるのか?
静止軌道上にステーションを設置
赤道の上空約36,000kmは、静止軌道と呼ばれ、静止軌道上の衛星は地球の自転と同じ速度で周る。宇宙エレベーターは、静止軌道上にステーションを設置することで、バランスをとりながら地球側と宇宙側にケーブルを延ばすことを可能にする設計。また、静止軌道ステーションは、大規模な宇宙太陽光発電や宇宙環境を活かした研究開発などを行う場としても活用予定。
重力を考慮したケーブル建設
宇宙エレベーターに用いるケーブルは、建設用宇宙船によって静止軌道上まで運ばれ、そこから地球に向かって繰り出される。また、同時に宇宙船はさらに上昇し、高度96,000kmの地点でカウンターウエイト(つり合いを取るための重り)として活用。適度な遠心力を持たせることで、重力とのバランスによってケーブルがまっすぐに伸びた状態を維持する。
アース・ポートによってケーブルを制御
ケーブルの固定部分となるアース・ポートは、陸上と海上に分けて建設される。海上のアース・ポートは、海水を利用した調整システムによって、ケーブルにかかる張力を制御する。また、アース・ポートは宇宙への発着場としてや、宇宙エレベーターの監視施設、さらには研究開発センターの建設地としても活用予定。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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