No.685
2022.04.18
色素を用いず玉虫色を発色する印刷技術
構造色インクジェット技術
概要
「構造色インクジェット技術」とは、色素を用いず、光の反射によって生じる発色現象である「構造色」を発現させるインクジェット技術。構造色は、自然界ではモルフォ蝶の羽や貝殻などに見られ、光が干渉・分光することで、見る角度によって色合いが異なるのが特徴。色味の異なる構造色を自在に描画でき、複雑な意匠などにも対応するため、腕時計の文字板装飾やアート作品、偽造防止を兼ね備えた意匠性の高い印刷など多様なマテリアルでの活用が期待される。
同じ印刷物でも見る角度で色が変化
背景が黒(左)、白(右)とで色が変化
構造色のパターン例
なぜできるのか?
インク内構造形成による発色
富士フイルムの分子制御技術を応用し、印刷のフィルム基材定着時にインクの膜内に微細な構造を形成することで、見る角度により色の異なる構造色を実現する。従来のインクには染料や顔料などの色素が含まれていたが、この技術では色素を用いずに光の反射で発色するのが特徴。
フルカラーで多彩な色味の実現
色味の異なる構造色を発現する複数種のインクを組み合わせることで、光の波長によって生じる赤色から青色まで、フルカラーの構造色を表現できる。見る角度や背景色によっても色合いが変化し、これまでの印刷物では実現しなかった多彩な効果を発揮する。
自在な描画性と多様な素材への汎用性
インクジェット印刷を使って構造色を自在に描画できるので、色の濃度を変化させたグラデーション表現が可能。フルカラーのインクジェット印刷表現と併用すれば、樹脂やガラスなど多様な素材に使える可能性を有している。
相性のいい産業分野
- 資源・マテリアル
紙や木に加飾して雲母や螺鈿の代替品
- 住宅・不動産・建築
ガラスに加飾して見る角度で色が変わる建築
- 教育・人材
背景ごとに色が変わることを利用した補色の学習教材
- アート・エンターテインメント
デジタルアートの壁面全体に加飾して空間自体が光るアート作品
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。
Top Image : © 富士フイルム 株式会社