No.720

2022.06.06

海水を超高速で淡水に変える極細チューブ

フッ素化ナノチューブ

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概要

「フッ素化ナノチューブ」とは、海水を超高速で淡水化する極細チューブ。チューブの内側をテフロン加工のように密に覆うフッ素の作用により、塩分を通さず水のみを透過する。従来、安全な淡水の確保は「持続可能な開発目標 (SDGs) 」の一つにも数えられる喫緊の課題であり 、地球規模の飲料水不足を解決するには、海水を淡水に変える“水処理膜”の能力を飛躍的に高める必要があった。「フッ素化ナノチューブ」は、これまでにないスピードと高効率での塩水の脱塩を実現。将来的には、海水から「飲み水」を生成できる未来の実現につながることが期待される。

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なぜできるのか?

「超分子重合」による生成

東大の相田卓三教授らの研究チームは、フッ素原子が密に結合した大環状化合物を超分子重合(弱い引力相互作用で分子を互いに接着する手法)により配列。これにより、内径0.9ナノメートルの「フッ素化ナノチューブ」を得た。

フッ素の電気的特性を利用した脱塩

「フッ素化ナノチューブ」は、フッ素の電気的特性によりマイナスの電気を帯びているが、海水中の塩分(塩化物イオン)もマイナスの電気を帯びているため、フッ素と反発し合い、塩分はチューブを透過できない。そのため水のみを透過させることが可能となり、海水を淡水化できる。

水素結合の崩壊による超高速透過

「フッ素化ナノチューブ」の内表面は水分子の間に働く水素結合を崩壊させる機能をもつ。そのため「フッ素化ナノチューブ」内部に取り込まれると水分子がバラバラになり、水とチューブ内壁の間の摩擦が低減される。その結果、これまで水処理膜研究の基準となってきた「アクアポリン」(高い水透過能と高い塩除去能を併せ持つ、細胞膜内に存在するタンパク質)の4500倍の速度での水の透過が可能となる。

相性のいい産業分野

資源・マテリアル

高効率な海水淡水化により発展途上国の水不足を解決

官公庁・自治体

離島などの淡水がない場所でも安定的に淡水を確保

流通・モビリティ

「フッ素化ナノチューブ」を組み込んだ装置を船舶に設置し高効率で真水を確保

製造業・メーカー

塩だけでなくウイルスや雑菌も除去する浄水器

食品・飲料

淡水化の過程で得た塩を天然塩として販売

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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