No.724
知財図鑑関連アワード受賞知財
2022.06.03
企業のSDGs活動による影響をZ世代へのアンケートから定量的に分析
SDGs活動がブランドイメージに与える影響とZ世代からの評価
概要
「SDGs活動がブランドイメージに与える影響とZ世代からの評価」(原題:「Impact of corporate SDGs activities on brand image and its evaluation by Gen Z with international backgrounds」)とは、社会・環境問題に高い関心を持つとされるZ世代への調査を通して、SDGsに向けた取り組みが企業のブランドイメージに与える影響や、グローバルな体験がZ世代のSDGsに対する価値観に与える影響について分析した研究。リサーチでは、実地での海外経験がある立命館アジア太平洋大学の3、4年生を対象に、SDGsについての理解度や、SDGs活動を行う企業のブランドイメージをヒアリングし、一般学生・一般社会人のデータと比較した。その結果、Z世代の中でも国際交流が頻繁な者ほどSDGsへの関心が高く、社会問題への関心度が高い者ほどSDGsに取り組む企業に良いイメージを抱いていることが判明。Z世代が企業の社会課題への取り組みを期待する一方で、企業側に確かな実行力を求めていると結論付けた。本研究により、企業がSDGs活動のターゲティングを再検討することで実態を伴わない「SDGsウォッシュ」を是正し、マルチステークホルダーの協働による社会課題の解決というSDGs本来の目的に貢献することが期待される。
(論文:「SDGs活動がブランドイメージに与える影響とZ世代からの評価」)
なにがすごいのか?
SDGs活動に高い関心を持つと言われるZ世代についての詳細な調査
無条件に肯定されがちな企業のSDGs活動に対する批判的検討
海外滞在や国際交流が社会への関心を高めることを定量的に実証
なぜ生まれたのか?
一般的に、Z世代を含む若い世代はSDGsへの関心が高いと言われる。しかし、マイバック持参率のデータで見るとZ世代は他の世代を下回っており、若者の社会課題への意識の高さは必ずしも行動に結びついていないとする意見もある。こういった背景を踏まえ、著者の秋山翔氏はZ世代を対象にアンケート調査を実施。Z世代の内、特に社会課題への関心が高いとされる国際的な背景を持つ日本人学生を対象に、一般的な日本人のZ世代と比較して趣向性やSDGs活動への見解にどのような差が表れるかを検証した。
なぜできるのか?
Z世代の社会問題への関心の実態を調査
著者の秋山翔氏は、立命館アジア太平洋大学の3、4年生を対象に、Z世代の社会問題への関心度と海外経験の有無についてアンケート調査を実施し、一般学生や一般社会人と比較検討を行った。その結果、Z世代が国際的価値観を形成する機会があったかどうかが、社会問題や社会貢献活動を行う企業に強い関心を持つかどうかに大きく関わっていることが判明した。こういった点から読者は、本研究から、Z世代の社会問題に対する関心の実態や海外経験の重要性を把握することが期待できる。
実態を伴ったSDGs活動の重要性を指摘
本研究では、Z世代を対象に行ったアンケート調査から、Z世代がSDGsに積極的に取り組み企業に対して良い印象を持つとともに、企業に対して課題への確かな実行力を求めていることを明らかにしている。そのため、企業が本研究から実態を伴ったSDGs活動の重要性を学び取り、積極的にSDGs活動を行うことが期待できる。
相性のいい産業分野
- 環境・エネルギー
SDGsの実現に向け、Z世代を対象としたエシカルな商品の販売を促進
- 生活・文化
SDGs関連の企業戦略をZ世代にターゲティングし、実態が伴っていない「SDGsウォッシング」の風潮を是正
- 教育・人材
環境問題に関心の高いグローバルなZ世代を積極的に雇用し企業のSDGs活動を推進
- 官公庁・自治体
国際的価値観を持ったZ世代を”SDGs人材”として積極的に登用
- メディア・コミュニケーション
SDGsに向けた活動を専門に行うZ世代のインフルエンサー
この知財の情報・出典
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