No.725
知財図鑑関連アワード受賞知財
2022.06.03
リモートで生じがちなすれ違いを解消する“会話のユニバーサルデザイン”の提案
ConvivialChat(遠隔会話ツールにおけるテキストとスピーチの共生)
概要
「ConvivialChat(遠隔会話ツールにおけるテキストとスピーチの共生)」とは、テキストとスピーチが混在するオンライン会話ツールにおいて、両者をリアルタイムで相互補完することで円滑なコミュニケーションを実現するツール「ConvivialChat」を提案する試み。本ツールは、チャットに送られたテキストを機械音声で読み上げる「TTS機能」、発言をテキスト化しチャット上に表示する「STT機能」、顔文字の表情に即した音声を読み上げる「リアクションボタン読み上げ機能」の3機能を搭載。これらの機能により、スピーチによる参加者とテキストによる参加者の対等な話し合いを促すことで、“チャットに送られたテキストが見逃される”、“テキストによる参加者が発言しづらい”といった事態を防止する。「ConvivialChat」は、スピーチによる参加者とテキストによる参加者との協調を促すことから、遠隔会話ツールにおける音声とテキストの隔たりや、障がいの有無や国籍の違いを超えて協調的なコミュニケーションを実現するツールとして、さまざまなシーンでの活用が期待される。
(論文:「ConvivialChat(遠隔会話ツールにおけるテキストとスピーチの共生)」)
なにがすごいのか?
音声、テキスト参加者双方が対等に発言できるリモートコミュニケーションを実現
障がいの有無や国籍の違いに関わらず参加者同士の協調的なコミュニケーションを可能にする、互いに対等な会話ツール設計
ビデオ会話ツールやSNSといった、さまざまなコミュニケーションサービスに導入できる高い汎用性
なぜ生まれたのか?
コロナ禍によりリモートでの会話の機会が増えるとともに、オンライン通話サービスも多様化し、テキストによる参加者とスピーチによる参加者が遠隔で会話を交わす場面も増えている。しかし、チャットに送られたテキストがスピーチによる参加者に気づかれずテキストの送信者が孤立感や疎外感を感じるなど、両者の協調的な会話を促す試みが十分検討されてきたとは言えない状況にある。こういった事態を踏まえ、藤井氏は、両者の円滑なコミュニケーションを促すツールとして「ConvivialChat」を考案。テキストによる参加者とスピーチによる参加者が共生できる場の構築を目指した。
なぜできるのか?
テキストを音声化する「TTS機能」
「TTS機能」は、テキストによる参加者がチャットに送信したテキストを機械音声で読み上げる機能。この機能により、見逃されがちなテキストでの会話を音声で周知させることが可能になる。
顔文字を読み上げる「リアクションボタン読み上げ機能」
「リアクションボタン読み上げ機能」は、送信された顔文字のスタンプに合致した音声を読み上げる機能で、テキストでの参加者による使用が想定されている。この機能により、テキスト参加者の「相槌」を音声化することで、テキストによる参加者の積極的な会話への参加を促し、円滑なコミュニケーションを実現する。
音声をテキスト化する「STT機能」
「STT機能」は、スピーチによる参加者の発言を音声認識機能によりテキスト化し、チャットに表示する機能。この機能により、テキストによる参加者の発言だけがチャットに表示される疎外感を軽減し、スピーチによる参加者・テキストによる参加者双方の対等なコミュニケーションを促すとともに、スピーチによる参加者の発言をログとして残すことで、過去の発言を基にした話題転換を可能にする。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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