No.775
2022.12.08
嗅覚体験をDX化する「におい提示装置」
NOS-DX1000
概要
「NOS-DX1000」とは“におい”に関連した研究や測定を行うためのにおい提示装置である。多数の嗅素を手軽に制御し、混在させずに均一に提示することを可能にした独自技術Tensor Valveテクノロジーをコア技術に、においの提示を機械化することで測定プロセスを簡易化。室内へのにおいの汚染を抑制し、嗅素を手軽に提示することができる。医療機関・研究機関・自治体等における嗅覚測定や嗅覚トレーニング、においサンプルの確認や検証など、においにまつわる研究や測定をDX化することが期待されている。
なにがすごいのか?
独自開発のにおい制御技術「Tensor Valveテクノロジー」を開発
測定のワークフローをDX化することで10分程度での測定を可能
空調設備等の環境を気にすることなく手軽な運用を実現
なぜ生まれたのか?
昨今、医療学術研究の分野では、アルツハイマー病や、レビー小体型認知症、パーキンソン病などの神経変性疾患の前駆症状の一つとして、嗅覚能力の低下が複数報告されており、これら疾患の早期発見に向けて、嗅覚測定の有用性を検証する研究の進展が期待されている。ソニーは、におい提示装置により嗅覚能力の測定プロセスを簡易化・高精度化し、学術研究分野における嗅覚測定の実施のハードルをさげ、鼻科・神経内科等の研究への貢献をめざしている。また、学術研究分野に限らず、研究開発、ユーザー嗜好性のマーケティング調査など様々な用途での活用も想定している。
なぜできるのか?
手軽に素早く「におい」を提示
タブレット上でにおいを選択するだけで、すぐに同じ設定条件でにおいを提示。手先が嗅素で汚染されることや、操作時に他の異なる嗅素が混ざることも抑制され、毎回の煩わしい準備や片付けが不要となる。鼻からの距離や、においが提示される時間を一定にすることで、手で提示するより正確で安定してにおいを提示でき、測定者が異なる場合でもデータの比較検討が容易となる。
におい汚染の抑制
「Tensor Valve テクノロジー」を採用したカートリッジ構造等により、強いにおいの嗅素でもカートリッジの密閉を実現。また、本体に内蔵された脱臭機構の気流制御により、提示されたにおいを速やかに除去し汚染を抑制するため、脱臭装置や専用の部屋を必要としない手軽な運用が可能となる。
専用アプリケーションによる記録とデータ閲覧
専用アプリケーションを用いて、におい提示の結果を簡単に記録し、その結果をアプリケーション上で比較して表示・分析することができる。Wi-Fiや二次元コード、USBなどで測定データを転送できる他、Bluetoothプリンターを用いることで感熱紙へ出力も可能。
環境への配慮
NOS-DX1000では、ソニーが独自に開発した様々な再生材の採用により、バージンプラスチック使用量の削減に取り組んでいる。被験者ごとに取り換える使い捨てのノーズガイドには、余剰バイオマスである米の籾殻から生まれた天然由来の多孔質カーボン素材トリポーラスと、竹・さとうきび・市場回収リサイクルペーパーを原料にした紙素材オリジナルブレンドマテリアルを独自配合した無臭かつ環境に配慮した新素材を用いている。また、消耗品の専用カートリッジの部品の一部には難燃性再生プラスチックSORPLASを用いている。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © ソニー 株式会社