No.991
2024.12.12
鉄スクラップAI解析システム
鉄ナビ検収AI
概要
「鉄ナビ検収AI」とは、リサイクル用の鉄スクラップを解析・選定するAIソリューション。専用のカメラで鉄スクラップを撮影することで、スクラップの等級判定と一部危険物の検出を補助する。従来の目視による検収(鉄スクラップの査定作業)では、検収員の熟練度によって査定価格や精度にばらつきが生じていたが、「鉄ナビ検収AI」の活用により査定の均一化が期待される。また、爆発物などの異物を検出する機能が加わることで、見逃しリスクの低減や安全性の向上にも寄与するとされる。検収作業の省人・省力化や安全性の向上を実現する技術として期待される。
なぜ生まれたのか?
鉄は、世界で最も使われている金属であり、年間19億トンが生産されている。また、製鉄業は、350兆円の超巨大産業で、世界で最もCO2を排出している産業でもある。
そのため、近年は、脱炭素社会の実現に向けたCO2の排出削減が急務となっており、鉄鉱石やコークスを原料とする「高炉法」ではなく、鉄スクラップを電気で溶かしてリサイクルする「電炉法」に大きな注目が集まっている。
しかし、鉄スクラップには、土砂やごみなどの不純物や爆発物などの危険物が混入するケースがある。そのため、鉄鋼メーカーでは、従来、熟練の検収員が目視で品質チェックや価格査定を行っており、爆発物などの異物の見逃しや査定のブレによる損失が課題となってきた。
そこで、東大初のスタートアップEVERSTEELは、「鉄ナビ検収AI」を開発。検収の省力化と省人化により、鉄リサイクルを促進し、脱炭素社会の実現を目指す。
なぜできるのか?
独自のアルゴリズムによる高精度検出
等級判定や異物検出には、EVERSTEEL独自の画像解析アルゴリズムを採用。異物がひしゃげていたり、一部しか見えない状態だったりしても、高精度な検出ができる。
検収データの記録・集計
検収データは、すべて記録・集計されるため、すぐに分析が可能。トラブル発生時にも簡単に原因究明ができる。
現場の声に寄り添ったUI/UX
開発においては、開発者自らが現場に通い、現場の検収員の検収方法を学び理解することで、ユーザーが使いやすいシステムを実現した。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 株式会社 EVERSTEEL