においセンシング×AIで挑む「がん」の早期発見
におい×がん検知

概要
「においセンシング×AIで挑む『がん』の早期発見」とは、尿のにおい成分をセンサーでデータ化し、AI解析によってがんのリスクを簡便に推定するスクリーニング技術。太陽誘電株式会社が電子部品や光記録メディアの開発で培ってきた有機・無機材料技術や薄膜技術を応用し開発。CEATEC 2026に出展され、「CEATEC AWARD 2026 優秀賞」を受賞した。
国が推奨するがん検診の受診率が低迷するなか、身体に負担をかけない尿検体に着目。尿に含まれる揮発性有機化合物(VOC)に着目し、尿を加熱して揮発させた成分を、水晶振動子を利用したにおいセンサーで測定する。16種類の感応膜を組み合わせたセンサーの反応パターンをAIが解析し、がんに関連するにおいの特徴を識別する。日常生活の中でリスクに気づき精密検査へ誘導する「0次スクリーニング」として、2030年ごろの実用化を目指している。
なにがすごいのか?
身体に負担のない尿検体で、尿のにおいをセンサーでデータ化しリアルタイムに結果を出せるため、採血や内視鏡検査のような痛みや心理的抵抗がなく、がんのリスクを推定
16種類の感応膜の反応パターンをAIで解析することで、複数成分からなる複合的なにおいの特徴を網羅的に捉え、がん特有の代謝変化を可視化
診断ではなく「0次スクリーニング」として位置づけることで、検診や精密検査を受ける最初のきっかけを日常の中につくる
なぜ生まれたのか?
日本国内では年間約40万人ががんで亡くなっており、早期発見による死亡リスク低減と治療期間短縮が求められている。しかし、国が推奨するがん検診の受診率は40〜50%にとどまり、「そもそも検査を受けに行かない」という心理的・時間的ハードルが大きな課題であった。
太陽誘電は、電子部品や光記録メディアの開発で培ってきた高精度な材料・薄膜技術を応用し、においを識別するセンサーを開発。この技術の活用先として、受診行動そのものを後押しできるがんスクリーニングに着目した。
病気の進行に伴う生体内代謝の変化が尿のにおい(VOC)に表れる点を利用し、日常の中でリスクに気づく仕組みをつくることで、早期治療の促進と医療費抑制への貢献を目指している。
なぜできるのか?
水晶振動子の共振周波数の変化で、においを数値に変えるQCM型センサー
使われているのは、水晶振動子を利用したQCM(Quartz Crystal Microbalance)型のにおいセンサーだ。水晶基板の上に形成した感応膜に、においの分子が吸着すると、その質量に応じて水晶振動子の共振周波数が変化する。この変化を検出することで、目に見えないにおいを数値のデータに変えられる。
16種類の感応膜で、複数の成分からなる「においの特徴」を捉える
においは、複数の成分が組み合わさってできている。においの分子がどれだけ吸着しやすいかは感応膜の種類によって異なるため、太陽誘電のセンサーは16種類の感応膜を組み合わせ、成分ごとに異なる反応を一度に捉える。電子部品や記録メディアの開発で培った有機・無機材料技術や薄膜技術が、このセンサーの開発に応用されている。
尿のVOCの反応パターンをAIで解析し、がんに関連する特徴を識別する
がんに伴う体内の代謝の変化は、尿に含まれるVOCの組成に表れることがある。尿を加熱して揮発させた成分をセンサーで測定すると、16種類の感応膜それぞれの反応がパターンとして得られる。このパターンをAIが解析することで、がん特有の成分のにおいを検知し、リスクを推定する。がん患者特有の代謝副産物が織りなす微細なにおいの差異を識別し、リスクレベルを客観的な指標として導出する。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。 詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。 Top Image : © 太陽誘電 株式会社





