No.651
2024.01.23
衣服に装着可能な、プロジェクター搭載のウェアラブルAIデバイス
Ai Pin
概要
「Ai Pin」とは、音声や手の動き、手のひらに投影される文字・画像で操作が可能な、スクリーンレスのウェアラブルAIデバイス。磁石式の本体とバッテリー・ブースターで衣服を挟んで装着でき、高機能なAIが通信機能などの操作や暮らしをサポートする。AIを最大限活用しながら、人間性を損なうことなく人の能力を向上させることを目指し、約4年をかけて製品化した。AIによるシームレスな支援で、通話や音楽再生、写真撮影、情報検索・テキストの要約などを円滑化するだけでなく、人の意識をスマートフォンの中から外に向け、リアルとのつながりを促すと期待される。
なにがすごいのか?
スクリーンレスでデバイスの全機能を操作
人のシンプルな行動を起点に、AIが適切な操作をシームレスに実現
衣服に装着可能で持ち運びがしやすいコンパクトな設計
なぜできるのか?
先端技術を搭載したコンパクトな機器
デバイスには、AIエンジンを搭載した米QualcommのSoC(System on a Chip)・AIエンジンを搭載したSnapdragonを実装し、AIの高速処理を実現している。デバイス上部には、広角RGBカメラ、深度センサー、モーションセンサー、レーザープロジェクターを搭載。本体とバッテリー・ブースターは、磁石で接続してワイヤレスで電力を供給し、衣服への装着とデバイス動作を可能にしている。大きさは縦47.50mm/横44.50mm、重さ約55グラムとコンパクトで持ち運びやすい仕様。外出先でも充電可能な専用ケースを提供している。鞄に装着できるクリップや、側面を保護するカラフルなシールドも別売りで販売しており、機能性やデザイン性を高めることもできる。
デバイスを円滑に動かす専用のOS
直感的な操作と高度なセキュリティーを融合させた、専用のOS「Cosmos」を開発。OSには、AIソフトウエアフレームワーク「Ai Bus」を構築して、ユーザーが必要とする機能を素早く理解し、適切なAIエクスペリエンスやサービスに即座に接続。アプリのダウンロードや管理、起動を不要にしている。
手のひらに情報を投影するレーザーディスプレイ
デバイスをタップした後、Ai Pinのカメラに映るよう手のひらをかざすと「Laser Ink Display」が、青緑色のレーザーで手のひらに文字や画像を投影する。搭載した小型レーザープロジェクターで情報を投影している。手を振る動作でメニューを左右に動かす、親指と人差し指を接触させてメニューを選択する、手を閉じてホームに戻るなど、手の動きでデバイスを操作できる。例えば、再生する音楽や音量の選択、送信予定のメールテキストや撮影画像の確認などが手のひらで行える。
AIによる音声アシスタント
デバイスのタッチパッドをタップして長押しすると動作する、音声アシスタント「Ai Mic」を搭載。質問への応答から周辺情報や過去の出来事の検索など、多様なサポートを行う。翻訳機能もあり、タッチパッドを2本指でダブルタップすればリアルタイムで会話相手の発話を翻訳して、相手の言語で音声を返す。また、音のバブルを作り出す特別なスピーカーを搭載しており、ユーザーの周囲に音のバブルを作り出して、低音量でも近く・クリアに聞こえる音を実現している。
人をサポートする多様なAI機能の搭載
通信デバイスとしての基本機能に加え、人をサポートする複数の機能を搭載。例えば、「Catch Me Up」機能では、受信メールの内容を要約して音声で伝える、電話の相手を選別して不要な連絡を排除するなどができる。また、メール送信時は送り先と伝えたい内容を指示すると、AIが候補文面を自動で作成。「もっと感情を込めて」など、表現の調整もできる。また今後のアップデートで機能拡充を予定。カメラで認識したナッツのタンパク質量を判定し、事前登録した健康目標に向け、食べていいかどうかを判定する機能や、手に取った商品をカメラで認識し、オンラインで価格確認・購入する機能などを予定している。
データ管理可能なポータルサイト
応答履歴やメモ、写真などのデータ管理は、ウェブブラウザでポータルサイト「Humane.center」にアクセスして行う。保存された各種データは、自由にカスタマイズできる。中心的ハブとして機能し、デバイスのセットアップから日々の管理までを可能にしている。
プライバシーに配慮した動作時のライト点灯
デバイスの光学センサーや音声センサーがアクティブになると点灯する、「Trust Light」機能を搭載しており、盗撮や盗聴などのプライバシーの侵害を防ぐ。同機能は、専用のプライバシーチップで管理している。物理的な改ざんなどで機能が侵害された場合は、自動でシャットダウンして、Humaneで専門的な対応が必要となる。
コラボレーションによる機能実装と強化
通信事業を手がける米T-Mobileと連携しており、スタンドアローンによる通信を可能にしている。今後は、T-MobileとともにMVNO(仮想移動体通信事業者)の立ち上げを予定している。また、MicrosoftやOpenAIともコラボし、大規模言語モデル(LLM)などを活用して基盤構築を行った。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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