No.984

2024.12.12

ロマンをかたちにした搭乗型の変形ロボット

ARCHAX(アーカックス)

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概要

「ARCHAX(アーカックス)」は、コックピットに乗り込んで操作できる変形ロボット。コックピットから全ての可動部を操作できる「ロボットモード」と、時速10㎞で走行可能な車両形態の「ビークルモード」の2つのモードがあり、自動車同様に前輪操舵の後輪駆動で機能する(公道の走行は不可)。なお、搭乗のほか、遠隔による操作が可能で、搭乗操作時の視界はコックピット内の4枚のモニターから確認可能。ホビー用途のほか、工場や建築現場といった重作業での活用も期待されている。

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なにがすごいのか?

  • 用途にあわせて変形できる2つのモード

  • 直感的かつ自在に動かせる各部位

  • フィクションの世界から出てきたような魅力的な搭乗型ロボットヴィジュアル

なぜ生まれたのか?

ツバメインダストリ株式会社のCEO吉田龍央氏は、福祉に役立つものづくりをしたいという思いから、大学在学中に株式会社ALTs(アルツ)を設立。大学で学んだロボットアーム技術を生かして、筋肉の電気信号を検知して動かす「筋電義手」を製造していた。

その後、吉田氏は、「新しい乗り物をつくってみたい」という思いから、搭乗可能な巨大ロボットの開発に着手。X(旧Twitter)などで参画メンバーを募集した結果、横浜市で公開されている高さ18mの「動く実物大ガンダム」の開発に携わったテクニカルディレクター・石井啓範氏らが参画し、2021年8月にツバメインダストリ株式会社を設立。2023年の6月に搭乗操作型ロボット「アーカックス(ARCHAX)」のプロトタイプが完成した。

なぜできるのか?

直感的に操作できる「ロボットモード」

「ARCHAX」では、26の関節自由度を実現。「ロボットモード」では、2本のジョイスティックで腕・ハンド・腰を、2つのペダルで走行系の操作ができる。なお、開発にあたっては、3Dソフトでの接触解析や外装デザインの変更を繰り返して干渉がないように設計しており、直感的かつ自在な操作を実現した。

視界を表現する4枚のモニター

コックピット内の4枚のモニターは、それぞれ「ARCHAX」の前面・背面・左側方・右側方のカメラの向きに対応し、「ARCHAX」の視界を再現。さらにモニターには、機体全身の9台のカメラがとらえた映像に加え、速度や本体傾斜角、バッテリー残量、腕や機体の状態といった情報が表示されており、機体の状況を一目で把握できる。

デザインと機能性の両立

開発においては、デザインと機能性を両立するために、機能設計者とデザイナーが綿密にコミュニケーションをとりながら推進。建設機械のフレーム構造を基にした設計かつ、コンセプトデザインから離れないようフレーム設計されているほか、塗装にはメタリックな質感が出やすい車の塗料が使われている。

強度と軽さの両立

「ARCHAX」の外装にはFRP(強化繊維プラスチック)を使用。モードチェンジや可動にも耐えうる強度を確保しつつ、可能な限り軽量化を進め、全体質量を3.5tに抑えている。

長距離輸送可能なサイズ

ロボットモードの高さは全高4.5m、ビークルモードは3.9mで、ビーグルモードにして一部の部品を外せばトレーラーで運べる高さに収まるため、長距離輸送も可能になる。

相性のいい産業分野

ロボティクス

四肢を自在に動かせる搭乗型の資材運搬ロボット

流通・モビリティ

アーカックスをテーマパーク内の未来的な乗り物として利用

住宅・不動産・建築

子どもの心をつかむ変形ロボ「アーカックス(ARCHAX)」のショールーム

アート・エンターテインメント

「ビークルモード」で繰り広げられる「アーカックス(ARCHAX)」同士のレース

IT・通信

「アーカックス(ARCHAX)」にMR技術を組み合わせ、拡張現実の新しい体験を提供

メディア・コミュニケーション

機体のモニター越しに体験できる、宇宙や地底、火山、空中、未来都市などを映像で訪れる擬似体験型コンテンツ

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © ツバメインダストリ 株式会社