No.1076
2025.10.14
レーザー光で物理的侵入を防ぐ鳥獣害対策ソリューション
忌避レーザー搭載ドローン

概要
「忌避レーザー搭載ドローン」とは、鳥獣が嫌がるレーザー光とドローンを組み合わせた鳥獣害対策ソリューション。長時間飛行が可能で自動航行機能を備えたドローンに、レーザー光を用いた鳥獣忌避装置を搭載しており、空からの広域アプローチで鳥獣害を防ぐ。鳥獣が本能的に不快に感じる2色のレーザー光をランダムに照射して、エリアに「近づけない・遠ざける」運用を実現。変化する侵入ルートに柔軟に対応でき、人手による追い払いが不要で、従来の鳥獣害防止ネットや威嚇音などで起こりがちな“慣れ”も抑える。化学薬品を使わないため環境負荷も少なく、近年増加傾向にある鳥インフルエンザや家畜伝染病、農作物の被害などの抑制に寄与すると期待されている。
なぜできるのか?
鳥獣害対策に適したドローンの開発
長時間の飛行性能や安定性・耐久性を持つ、NTT eDrone Technology のドローン「BB102」をベースに構築している。農業用ドローンの技術などを応用し、鳥獣害対策に特化して開発したドローンで、上空から広範囲にレーザー光を照射できる。従来の対策や地上設置型装置では難しかった、広大な敷地、建物の屋上などにも対応。自動航行の飛行範囲は送信機で設定でき、変動する侵入ルート・パターンに応じて柔軟に運用できる。また、ドローンの一人称視点で映像を映すFPV(First Person View)カメラを備えており、送信画面で屋上の様子などを確認可能。点検用途にも対応する。
鳥獣の習性にもとづく忌避装置の活用
地域総研の鳥獣忌避装置「クルナムーブ」をドローンに搭載。カラス・ハト・シカなどの鳥獣が持つ、目を守る習性を用いた装置で、本能的な不快感を与える赤色・緑色のレーザー光を照射して忌避効果をもたらす。また、ランダムに動くレーザー光に慣れにくいという特性も踏まえ、2色のレーザー光を回転させる、スペックルノイズ(ちらつき)で揺らぎを加えるなど、複雑な照射パターンを構築して効果の持続性を高めた。継続的な照射により、鳥獣に危険性を認識させることが可能。逃避や回避行動を促して対象エリアへの侵入を防ぐ。
様々な鳥獣・環境での忌避効果の実証
多様な鳥獣と環境下で実証実験を行い、忌避効果を確認している。効果が見られたのは、カラスやハト、サギ、カワウなどの鳥類のほか、イノシシ、シカ、ハクビシンなど多種多様。建物の屋上をはじめ、水田、果樹園、山林、湖といった様々な環境に対応できる。カラスが頻繁に飛来し屋根に止まっていた養鶏場の実証実験では、8日間の照射作業・計4週間で、約80羽の追い払いに成功したという。
そうした取り組みが評価され、2024年9月には神奈川県の「ドローン実証実験支援事業」に採択。2025年10月には千葉県と連携した。千葉県では「忌避レーザー搭載ドローン」を使い、養鶏場の高病原性鳥インフルエンザ対策を始める予定だ。
相性のいい産業分野
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Top Image : © 株式会社 NTT e-Drone Technology