No.1077
大阪・関西万博
2025.10.23
次世代に森を引き継ぎ、未来を育むパビリオン
住友館

概要
「住友館」とは、多様な生命が集う“森”を巡る中で“いのち”と向き合い、未来につなぐ大阪・関西万博の体験型パビリオン。山並みをモチーフにした木材基調の建築物の中に、没入感のある“森”の体験コンテンツを構築しており、普段見過ごしがちな「いのちの物語」に触れることができる。大阪・関西万博の民間パビリオンの1つで、住友グループが出展。グループの発展の礎となった愛媛県「別子銅山」の歴史をベースに、森の重要性を伝えるとともに、植林体験や未来のアイデアを生み出す共創プロジェクトを提供し、次世代につなぐ仕掛けを施した。人間と森、自然が調和して育む未来を思い描く機会をもたらし、持続可能な社会の創造を後押しした。
なぜできるのか?
森を体感できる「UNKNOWN FOREST」の構築
森が育んでいる多様な「いのちの物語」に出会う体験コンテンツ「UNKNOWN FOREST(未知なる森)」を構築。道順を定めておらず、来場者は動物や昆虫、菌類、植物など51種類ほどの生命が息づく“森”を自由に冒険。また、来場者の行動や入場時に手にする「ランタン」と連動するインタラクティブな体験も提供。森に潜む生き物が現われたり光が変化したりと、様々なイベントを楽しみながら“いのち”と向き合える。
冒険の終盤には、幅20m×高さ7.5mの「パフォーミングシアター」で、“森”を育んできたマザーツリーの物語を展開。大型スクリーンは3層のレイヤー構造で構成し、最前面には立体的な映像を投射するメッシュスクリーンを設置。数万個のLEDや風・霧を発生させる装置を組み合わせて舞台を構築した。複層の映像や音楽、人の動きなどが融合した迫力のある演出・空間を体験できる。
未来創造につながる参加型コンテンツの提供
「切って、加工して、使い、そしてまた植える」という営みに参加できる植林体験を提供しており、「未来の森づくり」に参加できる。グループの発展に伴って生まれた人工の森「住友の森」は、植林から活用の循環の中で、数世紀に渡って育まれてきた。パビリオンでは、主に小学生を対象に苗木を植え替える体験を提供。約1万本の苗木を用意しており、植えた苗木は育苗センターで育てたのち植林する。パビリオン建築のために伐採した場所を含む住友グループが保有する「いのちの森」に植えて、未来に引き継ぐ。
未来のアイデアを生み出す参加型共創プロジェクト「ミライのタネ」も展開した。約700件のグループ各社の最先端技術や取り組みをもとに、未来に向けたアイデアを創出。パビリオンでは、ベースの技術・取り組みと創出したアイデアを展示。万博と連動した特設サイトも設け(※)、いつでも・誰でも参加可能。つくられたアイデアは随時、サイトで公開した。「ミライのタネ」が世界中に広がり成長することで、社会課題の解決や豊かな未来社会の実現につながることを目指している。
(※ 生成は10月13日をもって終了しました。近々、住友グループが運営するWEBサイトにアーカイブページが新設されます。 https://sumitomoexpo.com/files/assets/6ce3285fb54a4043addfea6b0faa4b65/6a4b93ac803944e9b80163b0685096f9/251013.pdf )
木材によるなめらかな曲面を持つ建築物の構築
別子銅山の山並みをモチーフにパビリオンをデザイン。屋根と壁面を木材で覆い、なめらかな曲面と木目が印象的な建築物を構築した。「住友の森」から約1,000本の木を伐採して建材に使用。1970年の大阪万博の年に植林したスギや樹齢を重ねたヒノキを切り出し、屋根と外壁にはヒノキの構造用合板を、入口付近の外壁にはスギの角材を用いた。
ヒノキ合板の加工には、木材を最大限使える「桂剥き」を採用。木材の総量を抑えながら広範囲に使うため、厚さ9mmで合板を成形した。屋根の構築にあたっては、ベースとなる鉄骨を少しずつずらして配置し、平らな合板を曲げながら取り付け、なめらかな曲面を実現した。設計時には3Dモデルを構築して製作図に落とし込んだ。また、エントランス周辺の外壁には、様々なサイズのスギの角材を使用。積み重ねるようにして取り付け、木の年輪や大地の地層といった「時の積層」を表現している。
相性のいい産業分野
- 教育・人材
森の価値や生態系を学ぶ体験型教育コンテンツとして活用
- 住宅・不動産・建築
木を最大限に活かした建設・建築物のモデルとして横展開
- アート・エンターテインメント
森と触れ合える体験型コンテンツとして常設施設を展開
- 生活・文化
「循環」の観点から日常使いするプロダクトを選定・検討
- 製造業・メーカー
生み出されたアイデアを具現化するプロジェクト・企画の展開
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。
Top Image : © Sumitomo EXPO2025 Promotion Committee