自動運転を見据えた17人乗り次世代モビリティ
e-Palette(イーパレット)

概要
「e-Palette(イーパレット)」は、人の輸送だけでなく、移動型店舗やエンターテインメント空間など多様な用途へ柔軟に変化させることができる、トヨタ自動車株式会社のモビリティサービス向けバッテリーEV(BEV)。2018年1月の「CES」でコンセプトが発表され、東京2020大会選手村での運行などを経て、2025年9月15日に受注生産による市販を開始(メーカー希望小売価格2,900万円〜・税込)。朝夕は通勤・通学シャトル、日中は移動型店舗、夜間はイベント空間といった「1日の中で役割を変えるマルチユース」を可能にする。発売時点では自動化レベル2相当の運行に対応し、標準化された車両制御インターフェース(VCI)を介して各社の自動運転システム(ADK)を接続可能。2027年度の「レベル4」市場導入を目指すオープンプラットフォームとして設計されている。
東京・台場、青海、有明を結ぶシンボルプロムナード公園では、2025年10月10日よりe-Paletteを活用した公園内移動サービス「PALETTE RIDE」が運行している。ドライバーによる手動運転で運行され、来訪者は無料で乗車できる。





なにがすごいのか?
1台を使い分ける「マルチパーパス設計」:
朝夕の送迎バス、日中の移動カフェや物販、夜間のライブビューイング車両など、異なる用途に使い分けられる。歩道高15cmなら介助なしで乗降できる「ユニバーサル低床構造」:
大開口スライドドアと電動スロープ、車高調整機能により、車いすやベビーカー利用者が自力でスムーズに乗降可能。開発会社を選ばない「自動運転接続の標準化(VCI/ADK)」:
車両制御インターフェースをオープン規格化し、自動運転システムと車両制御システムの接続を標準化しているため、さまざまな開発会社の自動運転システムを搭載し、運用の目的に合わせて自動運転を構築できる。
なぜ生まれたのか?
2018年1月、トヨタが「自動車会社からモビリティ・カンパニーへ変革する」と宣言した際、その未来像を具現化する象徴としてe-Paletteのコンセプトが提示された。名前には「絵の具のパレットのように、社会や利用者が新たなサービスを自由に描き出せるように」という願いが込められている。
開発陣は「直立して歩ける室内空間」と「誰もが乗り降りしやすい低床性」という相反する要件を両立するため、タイヤをボディの四隅へ追いやり、極限までフラットな床面レイアウトを創出。欧州デザイン拠点「EDスクエア」が手掛けた機能的な箱型プロポーションに、親しみやすいフロントマスクを融合させた。
東京2020オリンピック・パラリンピック選手村での巡回運行を経て、2025年秋に市販化。次世代アリーナ「TOYOTA ARENA TOKYO」周辺や実証都市「Toyota Woven City」への実装に加え、東京臨海部(シンボルプロムナード公園)ではエリア回遊性を高める無料移動サービス「PALETTE RIDE」として実働している。
なぜできるのか?
空間効率を極限まで高めたスクエアボディと高アクセシビリティ
全長4,950mm・全幅2,080mm・全高2,650mmのコンパクトな車体ながら、室内長2,865mm・室内高2,135mmという大人が余裕で立てる容積を確保(定員17名:座席4+立席12+運転手1)。広い車室に機器を搭載すれば、朝夕はシャトルバス、日中は充電しながらの店舗営業というように、1日の中で用途を変えられる。開口幅1,280mm・開口高1,900mmの大開口スライドドアと電動スロープを備え、車高調整機能によって縁石(高さ15cm)との段差を解消。歩道の高さが15cmなら、車いすの人が介助なしで自力で乗り降りできる。車内監視システムと安心降車アシストが乗降時の安全を担保する。
2. オープンな自動運転開発を支える「VCI/ADK分離型アーキテクチャ」
車両プラットフォームと自動運転制御ソフトウェアを分離し、トヨタの車両制御インターフェース(VCI)で相互接続。自動運転キット(ADK:LiDAR、カメラ、コンピューティングユニット)を開発するサードパーティ各社が自社システムを容易に搭載できる設計となっており、運用の目的に合わせて、柔軟に自動運転システムを構築できる設計だ。ブレーキやステアリングの二重化(冗長システム)によって、自動運転レベル2から将来のレベル4移行時にも高いフェイルセーフ性を維持する。
3. ステアバイワイヤと給電機能(V2H/V2L)による運用適応力
機械的なステアリングシャフトを廃した「ステアバイワイヤ」と異形ステアリングを採用し、狭い交差点での操舵量を低減して運転手の疲労を大幅に緩和。ステアリングは異形で、先進的なコックピットを実現した。急速充電(約40分で約80%充電)に対応するほか、大容量リチウムイオンバッテリー(72.82kWh)から外部への給電が可能で、移動店舗の厨房機器電源や、災害時の非常用給電拠点としても機能する。
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