No.1040

大阪・関西万博

2025.05.26

“食”を見つめ直して“いのち”に思いを巡らすパビリオン

EARTH MART

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概要

「EARTH MART(アースマート)」とは、「食を通じて、いのちを考える」をコンセプトとしたパビリオン。茅葺屋根の建築物の中に、スーパーマーケットに見立てた空間を構築しており、買い物感覚で楽しみながら考えを深められる。大阪・関西万博のパビリオンの1つで、テーマは「いのちをつむぐ」。食と命の循環に触れる「いのちのフロア」と、食文化の可能性や技術進化といった、次の時代に向けたヒントをちりばめた「未来のフロア」をメインに、約20のコンテンツを展示している。人間が生きるために必要な“いのち”の存在や「いただきます」の意味について思考を促す仕掛けがあり、食べ物への感謝の気持ちを醸成したり、「幸せの閾値」を下げたりと、価値観を見直す機会をもたらす。世界に「いただきます」の価値を改めて発信することで、地球の有限な資源を分け合う「優しさ」を生み出し、未来形成に寄与すると期待されている。

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なぜできるのか?

食の本質を見つめ直す「いのちのフロア」

「生きることは、食べるということ」という、根本を見つめ直す「いのちのフロア」を構築した。日本人ひとりが一生のうちに食べる卵(約28,000個)を表したシャンデリア状の展示をはじめ、78種の野菜や地球上で最も食べられている魚といった、日常的に人を支える食べ物を掲示。また「いのちのはかり」では、ミツバチが生涯で集める蜂蜜の量など、食べ物の背景にある物語や数字を伝える。さらに、日本人が食べる約10年分の食材が入った「いのちのカート」、世界で食べられている多様な食材や年間消費量を示した「いのちのショーケース」、実在する家族の1週間分の食糧を可視化した「世界のレシート」なども展示。現代の食の実態を知り、日常では忘れがちな食べ物の“いのち”について思い巡らすことができる。

次の時代につなぐ「未来のフロア」

「未来のフロア」は、最新のフードテックや日本古来の食文化・技術をメインに構成。日本を代表する鮨職人のにぎりの技を見せる3D映像、ニチレイの凍結粉砕・冷凍の技術を用いたパウダー状の冷凍食、ソニーグループが研究開発中の「録食」に対応した調理データを共有できるキッチンなどを展示している。「録食」は、調理手順や分量に加え、秒単位での投入タイミングや熱・力・水分といった加減まで、高精度に記録しデータ変換できる。
フードテックの先には、日本の食文化やこれまで育まれてきた食の技術などを展示して、世界中の人が自国の“当たり前”を見つめ直すきっかけを提供。また、万博会場内で漬けた梅干し「万博漬け」を2050年に受け取れる「食のタイムカプセル」も展開し、次の時代につなぐ仕掛けを施している。

日本の食の知恵を集めた「EARTH FOODS」

日本の食材・食品や食の知恵・技術をピックアップし、「EARTH FOODS」として展示している。食業界の有識者たちを交え、栄養面や環境配慮、持続性、倫理、経済、嗜好、文化といった「10の視点」を指標に25種類を選定。「発酵」「海藻」といった多様な技術や知恵の集積から成る、日本の食の価値を再定義して発信している。日本古来の食のアイデアを共有して、世界の食文化の発展や環境問題の解決を後押しすることが目的。梅干し・米粉・高野豆腐・海苔・鰹節・麹といった、「EARTH FOODS」の概要や食べ方などを展示し、過去から受け継がれてきた技術によって豊かになる方法も示す。協賛企業の江崎グリコは、米由来の素材で作った「お米のキャラメル」を万博に合わせて開発。2025年5月末よりパビリオン限定で提供する予定だ。

循環を象徴する茅葺屋根の建築物

里山の暮らしにおいて、営みの象徴である茅にフォーカス。熊本県阿蘇市や大阪府大阪市淀川区など、全国から集めた茅を使い、職人の手で茅葺屋根を構築した。建築デザインは、隈研吾建築都市設計事務所の若手デザイナーから募り、50 近い多種多様なアイデアの中から、いくつかの要素を組み合わせてつくり出した。会期終了後には、茅のアップサイクルを予定している。

相性のいい産業分野

食品・飲料

古来×最新の技術による新たな加工方法や食品の開発

製造業・メーカー

「EARTH FOODS」を活用した新商品・メニューの開発

生活・文化

日本文化の1つとして「いただきます」を国内外で展開

教育・人材

日本の食文化や技術を学ぶコンテンツとして活用

アート・エンターテインメント

各国の食の技術で持続可能性を究める国際イベントの企画

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

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事業プロデューサー:小山 薫堂
全体統括:株式会社 オレンジ・アンド・パートナーズ
実施製作・運営:株式会社 電通/株式会社 電通ライブ
建築設計・施工:大成建設 株式会社/隈研吾建築都市設計事務所
展示制作:株式会社 乃村工藝社
映像演出:株式会社 SPECIAL REQUEST
アートディレクション:Tamotsu Yagi Design
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Top Image : © EARTH MART