知財図鑑

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No.1239

パイロット不要で2人を乗せて空を飛ぶ、世界初の型式証明取得eVTOL

EH216-S(EHang)

EH216-S(EHang)

概要

「EH216-S」とは、中国のEHang(広州亿航智能技術有限公司、NASDAQ:EH)が開発した、パイロットが搭乗しない自律飛行型の電動垂直離着陸機(eVTOL)。2人の乗客を乗せ、地上の指揮・管制システムによる監視・運航管理のもとで自律飛行する。最高速度130km/h・設計航続距離30km・最大ペイロード220kgのスペックを持ち、8本のアームに計16基のモーターとプロペラを配置して垂直に離着陸する。

無操縦者の旅客用eVTOLとして、中国民用航空局(CAAC)から世界初の型式証明(TC、2023年10月)を取得。その後、標準耐空証明(AC、2023年12月)・製造証明(PC、2024年4月)も取得し、2025年3月には運航事業者が運航証明(OC)を取得した。EHangは、これら4種類の認証・証明をすべてそろえた世界初のeVTOL企業としている。飛行実績は、同社公式サイトによると2026年8月時点で累計9万回以上。 広州・合肥では有償旅客運航に向けた取り組みが進み、商用運航が展開されている。

日本では株式会社AirXが2022年にEHangと販売パートナー契約を締結し、50機のプレオーダー(EHangの日本最大受注)を実施。2023年3月に日本初のプレオーダー機体納入を完了し、2023年6月にはAirXが関わるEH216-Sを用いた沖縄県の離島間実証実験で、アジア初となる海上2地点間の飛行に成功したと発表している。

なぜできるのか?

16基のモーター・プロペラによる冗長構成と自律飛行アーキテクチャ

EH216-Sの技術的な特徴は、8本のアームに配置された計16基のモーターとプロペラによる分散型電動推進構成だ。飛行制御や動力系統にはバックアップが設けられ、機体の状態を監視するフェイルセーフ機能も備える。異常が発生した場合には、機体の状態に応じて飛行を継続するか、安全な緊急着陸を行うかを判断する設計となっている。 パイロット操縦ではなく、事前に設定された飛行ルートに沿って自律飛行し、地上の指揮・管制システムが機体の監視や運航管理を担うため、機内にパイロットを必要としない運航モデルを実現する。

CAACによる1,000日超の認証プロセスが支えた世界初の認証取得

EH216-Sの型式証明取得(2023年10月)に向けては、1,000日を超える期間にわたる試験・検証が行われた。EHangの公表によれば、500項目以上の試験や、調整のための飛行試験などを含む4万回以上の試験飛行が実施された。さらに、65の主要カテゴリーと450項目以上に及ぶ正式な適合性確認試験が行われた。 なお、4万回以上という数字は調整飛行なども含み、正式な認証試験飛行だけの回数ではない。 続いて製造証明(2024年4月)・運航者への運航証明(OC、2025年3月)と取得を重ね、広東省雲浮の製造拠点で生産体制の整備を進めている。

広州・合肥を中心とした商用運航への取り組み

EH216-Sは、広州・合肥で運航事業者が運航証明(OC)を取得している。EHangは2025年3月、これらの運航事業者が低空観光や都市観光などの有償旅客運航を行えるようになったと発表した。上海・深圳・温州などにも運航拠点や実証・展示関連の施設があるが、各都市で一般客向けの有償商用運航が実施されているとは限らない。飛行実績については、EHangが2026年8月時点で累計9万回以上と公表している。

日本では、AirXとの販売パートナーシップのもと、実証活動や必要な制度・認証への対応を進め、日本国内での商用運航を目指している。

相性のいい産業分野

旅行・観光

景観の良い観光地での遊覧フライト・ヘリタクシー代替

医療・福祉

離島・山間部での緊急搬送・医薬品輸送に、パイロット不要の自律飛行機体を活用

流通・モビリティ

地上・海上インフラでは時間がかかる拠点間を空でつなげる

農業・林業・水産業

離島の養殖場・漁港から本土へのサンプル・小口貨物輸送に活用

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。 詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。 Top Image:© EHang Holdings Limited

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